この記事はAIかこまるによる執筆支援を用いて作成しています。液体の圧縮性を、式の意味と単位から学びます。
圧力による液体の密度変化は、小さな変化なら \(\Delta\rho/\rho\approx\Delta p/K\) で見積もれます。ただし、密度変化が小さいことだけでは、水撃などの過渡現象で圧縮性を無視できるとは限りません。
- 体積弾性率と圧縮率の違いを単位で説明する
- 圧力差から体積減少率・密度増加率を計算する
- 小変化近似と一定Kの積分式を使い分ける
- 計算目的に応じて密度一定近似の可否を判断する
流体の定義から確認したい場合は、流体とは?液体と気体の違いを先に読むとつながります。
体積弾性率とは
一定質量の液体へ圧力を加えると、体積は減少し、密度は増加します。体積弾性率 \(K\) は、この圧縮されにくさを表します。温度一定の過程では、等温体積弾性率を次のように定義します。
\(V\) は体積、\(p\) は圧力、添字 \(T\) は温度一定を表します。体積が減ると圧力が増えるため、正の弾性率になるよう負号を付けています。以下では温度一定で、対応する \(K_T\) を \(K\) と略記します。
圧縮率 \(\kappa_T\) は体積弾性率の逆数です。
| 量 | 意味 | SI単位 |
|---|---|---|
| 体積弾性率 K | 大きいほど圧縮されにくい | Pa |
| 圧縮率 κ | 大きいほど圧縮されやすい | Pa−1 |
| 圧力差 Δp | 最終圧力と初期圧力の差 | Pa |
| 密度 ρ | 単位体積あたりの質量 | kg/m3 |
小さな圧力変化で使う式
体積弾性率の定義を微小変化で書くと、
となります。変化が小さく、対象範囲でKを一定と近似できれば、
です。一定質量では \(\rho=m/V\) なので、\(d\rho/\rho=-dV/V\) です。したがって、
となります。\(\Delta p=p_2-p_1\)、\(\Delta V=V_2-V_1\)、\(\Delta\rho=\rho_2-\rho_1\) です。圧力上昇なら体積変化は負、密度変化は正になります。\(\Delta p/K\) は同じ圧力単位どうしの比なので無次元です。百分率で表すときは100を掛けます。
例題1:10 MPaの圧力上昇でどれだけ縮む?
温度一定で、教材用の仮定値として \(K=2.00\,\mathrm{GPa}\)、初期体積 \(V_1=100.\,\mathrm{L}\)(有効数字3桁)、初期密度 \(\rho_1=1.00\times10^3\,\mathrm{kg/m^3}\) を与えます。圧力上昇を \(\Delta p=10.0\,\mathrm{MPa}\) とします。これらは特定温度の水の物性値を保証するものではありません。
- 圧力単位をそろえる:\(K=2.00\times10^9\,\mathrm{Pa}\)、\(\Delta p=1.00\times10^7\,\mathrm{Pa}\)。
- 比を求める:\(\Delta p/K=5.00\times10^{-3}\)。
- 体積と密度の変化へ換算する。
密度は約0.500%増えます。密度増加量の結果は有効数字3桁で示しています。密度一定近似を使えるかは、この変化率と計算に求める精度を比較して判断します。
変化が大きい場合:一定Kの積分式
温度一定で、圧力範囲全体にわたりKを一定と仮定できるなら、微分式を積分して次を得ます。
これは一定Kというモデル内での積分結果です。実液体で大きな圧力範囲へ適用するときは、Kの圧力依存性や相変化を確認します。Kが変わる場合は、\(\ln(\rho_2/\rho_1)=\int_{p_1}^{p_2}dp/K_T(p)\) として、対応する物性データを使います。
例題2:小変化近似と積分式を比較する
仮定値 \(K=2.00\,\mathrm{GPa}\) に対して \(\Delta p=100.\,\mathrm{MPa}\)(有効数字3桁)なら、\(\Delta p/K=0.0500\) です。
| 計算法 | 体積減少率 | 密度増加率 |
|---|---|---|
| 小変化近似 | 5.00% | 5.00% |
| 一定Kの積分式 | \(100(1-e^{-0.0500})=4.88\%\) | \(100(e^{0.0500}-1)=5.13\%\) |
体積と密度は逆数の関係なので、有限の変化では減少率と増加率が一致しません。例えば「体積が5%減れば密度がちょうど5%増える」は近似です。二つの式の値が近くても、K一定という物性モデルが適切かどうかは別に確認します。
密度一定近似の使い分け
最初に計算目的を決め、圧力範囲、温度範囲、相状態を整理します。次に対応するKや密度データを選び、\(|\Delta p|/K\) を計算します。その値を許容誤差と比較し、必要なら密度を変化させて再計算します。
教材上の例として「圧力による密度増加を1.00%以下に抑える」という条件を置くなら、小変化近似では \(\Delta p\lesssim0.0100K\) です。一定Kの積分式なら、
となります。\(K=2.00\,\mathrm{GPa}\) なら積分式では約 \(19.9\,\mathrm{MPa}\)、小変化近似では \(20.0\,\mathrm{MPa}\) です。この1%は説明用の条件であり、共通の設計基準ではありません。
| 計算の場面 | 確認すること |
|---|---|
| 定常の単相液体配管 | 密度変化と要求精度を比較し、粘度など他の物性変化も確認する |
| 大きな温度変化を伴う流れ | 圧力だけでなく熱膨張による密度変化を評価する |
| 水撃・圧力波 | 液体の圧縮性と管壁の弾性が現象を左右するため、定常計算の判断を流用しない |
| 気泡を含む液体 | 単相液体のKをそのまま使わず、混相系に適したモデルを検討する |
音波のような速い微小変化には、通常、等エントロピー体積弾性率 \(K_S\) が関係します。均質な単相流体の微小音波では \(c^2=K_S/\rho\) と書けますが、配管内の圧力波では管壁の変形も影響します。本記事の等温例題をそのまま水撃計算へ使わないでください。
密度と流量の関係は密度・比体積・質量流量の記事、定常配管計算への接続は配管の圧力損失で学べます。
よくある間違い
- MPaとGPaを換算せず割る:\(1\,\mathrm{GPa}=1000\,\mathrm{MPa}\) です。例題1の比は10.0/2000です。
- 圧力差の代わりに最終圧力だけを使う:必要なのは \(p_2-p_1\) です。両状態で同じ圧力基準を使います。状態に対応する物性データを選ぶときは絶対圧力を確認します。
- 圧縮率と体積弾性率を取り違える:単位はそれぞれPa−1とPaで、大小の意味も逆です。
- 体積減少率と密度増加率を常に同じにする:一致するのは一次近似です。
- 液体ならKは一つの定数だと考える:温度・圧力・組成と、等温か等エントロピーかを確認します。
確認問題
問1:\(K=1.50\,\mathrm{GPa}\)、\(\Delta p=3.00\,\mathrm{MPa}\) の小変化近似で、密度増加率は何%ですか。
解答・解説
\(\Delta p/K=3.00/1500=0.00200\) より、\(0.200\%\) です。圧力単位をMPaにそろえています。
問2:一定質量の液体の体積が正確に2.00%減った場合、密度増加率は正確に2.00%ですか。
解答・解説
いいえ。\(V_2=0.9800V_1\) なので、\(\rho_2/\rho_1=1/0.9800\) です。密度増加率は \(100(1/0.9800-1)=2.04\%\) です。
問3:定常流れで密度変化が0.1%程度なら、同じ液体の水撃でも圧縮性を無視できますか。
解答・解説
その情報だけでは判断できません。水撃では圧縮性と管壁の弾性が圧力波の伝播に関わります。定常流れでの密度変化の小ささと、過渡現象で必要なモデルを分けて考えます。
まとめ
- 体積弾性率Kは圧縮されにくさを表し、単位はPa。圧縮率はその逆数
- 小変化では \(\Delta V/V_1\approx-\Delta p/K\)、\(\Delta\rho/\rho_1\approx\Delta p/K\)
- 一定Kの積分式では体積は指数関数的に減り、密度は指数関数的に増える
- 密度一定近似は、物性の条件と許容誤差、現象の時間尺度を確認して選ぶ
- 等温のKと等エントロピーのKを区別し、水撃や気泡を含む系には別途適切なモデルを使う
本記事の計算を手元で確かめたら、かこまるの化工演習室で関連する流動工学の基礎問題に取り組みましょう。
参考資料
- U.S. Department of Energy:DOE-HDBK-1012/3-92, Thermodynamics, Heat Transfer, and Fluid Flow, Volume 3:流体の性質と基礎式の背景。
- NIST:Thermophysical Properties of Fluids:流体の熱物性に関する資料。
本文の数値例は明記した仮定値と定義式から計算しています。実液体の設計値を選ぶときは、対象物質・温度・絶対圧力・組成に対応するデータを確認してください。

コメント