凝縮器の冷却水量の求め方|蒸気の潜熱と水温上昇から熱収支を計算

AIかこまるによる執筆支援で作成した記事です。

化学工学を初めて学ぶ方へ、凝縮器の蒸気側と冷却水側を同じ熱収支でつなぐ方法を解説します。

結論と学習目標

熱損失を無視できる定常凝縮器では、蒸気から取り除く熱と冷却水が受け取る熱は等しくなります。飽和蒸気を飽和液まで凝縮する場合、

\[\dot m_c=\frac{\dot m_s h_{fg}}{c_{p,c}(T_{c,out}-T_{c,in})}\]

で冷却水量を求めます。この記事では、熱負荷の求め方、kg/sからm³/hへの換算、必要流量と伝熱面積の役割を学びます。

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冷却水量とは:計算する流量を決める

冷却水量には質量流量と体積流量があります。熱収支ではkg/sで表す質量流量を使い、配管やポンプを考える段階でm³/hなどの体積流量へ換算します。

基礎はエネルギー収支と流量と流速です。蒸気が放出する潜熱については凝縮伝熱を先に読むと理解しやすくなります。

凝縮器を挟んだ蒸気と冷却水の熱収支上側では100度の飽和蒸気が凝縮して飽和液になる。下側の冷却水は20度で入り30度で出る。蒸気の潜熱が冷却水の顕熱へ移る。凝縮器飽和蒸気 100 ℃飽和液 100 ℃熱移動冷却水入口 20 ℃冷却水出口 30 ℃
蒸気側の相変化による熱放出と、水側の温度上昇をつなぎます。流路を簡略化した概念図です。

基礎式:蒸気側と水側で熱流量を一致させる

1. 蒸気側の凝縮負荷

純物質の飽和蒸気が同じ圧力の飽和液になる場合、

\[\dot Q=\dot m_s h_{fg}\]

です。\(h_{fg}\) は単位質量あたりの潜熱です。単位時間あたりの凝縮量を掛けると、熱流量になります。

2. 冷却水側の顕熱

冷却水は液体のまま温度が上がるとします。比熱一定、定常状態、外部への熱損失と軸仕事、運動・位置エネルギー変化を無視すると、

\[\dot Q=\dot m_c c_{p,c}\Delta T_c,\qquad\Delta T_c=T_{c,out}-T_{c,in}\]

となります。両式を等置して冷却水の必要質量流量を求めます。

\[\dot m_c=\frac{\dot Q}{c_{p,c}\Delta T_c}\]

記号 意味 単位
\(\dot Q\) 蒸気から冷却水へ移る熱流量 kW=kJ/s
\(\dot m_s\) 凝縮する蒸気の質量流量 kg/s
\(h_{fg}\) 凝縮潜熱 kJ/kg
\(\dot m_c\) 冷却水の質量流量 kg/s
\(c_{p,c}\) 冷却水の定圧比熱 kJ/(kg·K)
\(\Delta T_c\) 冷却水の出口と入口の温度差 K

単位を確認すると、\((\mathrm{kJ/s})/[\mathrm{kJ/(kg\cdot K)}\times\mathrm{K}]=\mathrm{kg/s}\) です。Wを使うなら比熱と潜熱をJ基準にそろえます。

例題:0.200 kg/sの蒸気を凝縮する

約1気圧、100 ℃の飽和水蒸気0.200 kg/sを、100 ℃の飽和液まで全量凝縮するとします。冷却水は20.0 ℃で入り、30.0 ℃で出ます。教材用の概略与条件として、潜熱2257 kJ/kg、冷却水の比熱4.18 kJ/(kg·K)、密度997 kg/m³を使います。精密設計では運転条件に合う物性を選びます。

1. 凝縮負荷を求める

\[\dot Q=0.200\times2257=451.4\ \mathrm{kW}\]

途中計算では451.4を残し、最終値は有効数字3桁で451 kWとします。

2. 冷却水の質量流量を求める

\[\Delta T_c=30.0-20.0=10.0\ \mathrm{K}\]\[\dot m_c=\frac{451.4}{4.18\times10.0}=10.799\ldots\ \mathrm{kg/s}\]

必要質量流量は10.8 kg/sです。水1 kgが10.0 K温まると41.8 kJを受け取るので、1秒あたり約10.8 kgが必要になります。

3. 体積流量へ換算する

\[\dot V_c=\frac{\dot m_c}{\rho_c}\]\[\dot V_c=\frac{10.799\ldots}{997}\times3600=38.995\ldots\ \mathrm{m^3/h}\]

したがって39.0 m³/hです。3600は秒から時間への換算です。密度を1000 kg/m³と近似すれば38.9 m³/hとなりますが、ここでは与条件997 kg/m³を使っています。

4. 水側から検算する

\[10.8\times4.18\times10.0=451.44\ \mathrm{kW}\]

蒸気側の451.4 kWと丸め誤差の範囲で一致します。

使い分け:過熱蒸気や過冷却液ならエンタルピー差

入口が過熱蒸気の場合は、まず飽和温度まで冷却する顕熱があります。出口液を飽和温度より低くする場合も、液体の顕熱冷却が加わります。状態が複数にまたがる場合は、

\[\dot Q=\dot m_s(h_{s,in}-h_{l,out})\]

と入口・出口の比エンタルピー差を使うと整理しやすくなります。蒸気表の読み方は蒸気表の解説、相変化と温度変化の違いは顕熱・潜熱の解説を参照してください。

例えば凝縮液を100 ℃から80.0 ℃まで冷やし、液体比熱を4.20 kJ/(kg·K)と一定近似すると、追加負荷は \(0.200\times4.20\times20.0=16.8\ \mathrm{kW}\) です。合計は468.2 kW、同じ冷却水温度差なら必要水量は \(468.2/41.8=11.2\ \mathrm{kg/s}\) になります。

必要水量と伝熱面積は別々に確認する

熱収支で求めた流量は、指定の入口・出口温度を実現するときの必要量です。その熱を実際に移せるかは、伝熱面積と総括伝熱係数の確認が必要です。

\[\dot Q=UA\Delta T_{lm}\]

純蒸気がほぼ一定温度100 ℃で凝縮し、水が20 ℃から30 ℃になる理想化条件では、両端の温度差は80 Kと70 Kです。

\[\Delta T_{lm}=\frac{80-70}{\ln(80/70)}=74.9\ \mathrm{K}\]

例として \(U=1.00\ \mathrm{kW/(m^2\cdot K)}\) を与えると、

\[A=\frac{451.4}{1.00\times74.8888\ldots}=6.03\ \mathrm{m^2}\]

となります。このUは説明用の仮定値で、装置の推奨値ではありません。詳細は熱交換器の総括伝熱係数とLMTDで学べます。

熱負荷と比熱が一定なら、許容水温上昇を10 Kから5 Kへ半減させると必要水量は2倍です。実機では水温上昇を大きくできる範囲、末端温度差、流速、圧力損失、汚れ、材質などを合わせて確認します。

よくある間違い

  • 水温差と伝熱温度差を混同する:水量の式には水の出口温度-入口温度を使います。LMTDは蒸気と水の間の伝熱推進力です。
  • 潜熱を二重に足す:蒸気表の入口・出口エンタルピー差に潜熱が含まれる場合、さらに潜熱を加えません。
  • kJとJを混ぜる:kWにはkJ/(kg·K)、WにはJ/(kg·K)を対応させます。
  • kg/sをそのままm³/hと読む:密度で割り、3600を掛けます。
  • 水量だけで凝縮完了を保証する:伝熱面積不足や不凝縮ガスがあると、想定した負荷を処理できない場合があります。

確認問題

問題1:蒸気0.100 kg/s、潜熱2257 kJ/kgの凝縮負荷はいくらですか。

解答と解説

\(0.100\times2257=225.7\ \mathrm{kW}\)。有効数字3桁なら226 kWです。

問題2:418 kWを比熱4.18 kJ/(kg·K)の水で取り除き、水温が10.0 K上がる場合、必要質量流量はいくらですか。

解答と解説

\(418/(4.18\times10.0)=10.0\ \mathrm{kg/s}\) です。

問題3:必要質量流量10.0 kg/s、密度1000 kg/m³なら体積流量はいくらですか。

解答と解説

\((10.0/1000)\times3600=36.0\ \mathrm{m^3/h}\) です。

問題4:水温上昇を10 Kから5 Kにすると、同じ熱負荷を処理する水量はどう変わりますか。

解答と解説

比熱一定なら2倍になります。必要水量は水温上昇に反比例します。

まとめ

  • 飽和蒸気から飽和液への凝縮負荷は \(\dot m_s h_{fg}\)
  • 冷却水量は \(\dot Q/[c_{p,c}(T_{c,out}-T_{c,in})]\)
  • 体積流量は質量流量を密度で割って換算する
  • 過熱・過冷却がある場合は顕熱を含め、エンタルピー差を使うと整理しやすい
  • 水量の熱収支に加え、U・面積・LMTDによる伝熱能力を確認する

熱収支を演習で身につけよう

かこまるの化工演習室でエネルギー収支や伝熱分野に取り組み、各式の単位を確認してください。

参考資料

数値例の物性は記事内に明示した教材用の概略与条件です。計算結果はその条件から求めています。

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