濾過(ろ過)とは?Darcy則・ケーク抵抗・定圧濾過式を例題で解説

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コーヒーフィルターへ粉とお湯を入れると、液体はフィルターを通り、粉はフィルター上に残ります。化学工業の濾過も基本的な考え方は同じです。液体と固体粒子を含むスラリーへ圧力差を与え、液体を濾材へ通すことで固体と液体を分けます。

ただし、工業濾過では時間が経つほど濾過速度が低下することがあります。濾材上に積もった固体がケークを形成し、液体の通り道に新たな抵抗を加えるためです。

この記事では、濾過の用語、Darcy則、濾材抵抗とケーク抵抗、定圧濾過式、比ケーク抵抗、濾過時間の計算、濾過試験データの整理、代表的な濾過装置を初学者向けに解説します。

この記事の目標

  • スラリー、濾液、濾材、ケークの関係を説明できる
  • 濾過の駆動力が圧力差であることを理解できる
  • Darcy則から濾過速度式を立てられる
  • 濾材抵抗とケーク抵抗を区別できる
  • 定圧濾過式で必要な濾過時間を計算できる
  • \(t/V\) と \(V\) の直線から濾過特性を求められる
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濾過とは

濾過とは、固体粒子を含む流体を多孔質の濾材へ通し、固体粒子を捕捉して流体と分離する操作です。この記事では、液体中の固体粒子を分離する固液濾過を扱います。

\[
\text{スラリー}
\longrightarrow
\boxed{\text{濾材}}
\longrightarrow
\text{濾液}
\]

\[
\hspace{25mm}
\downarrow
\text{固体ケーク}
\]

用語 意味
スラリー 固体粒子が液体中に分散した混合物
濾材 液体を通し、粒子を捕捉する布・紙・金網・多孔体など
濾液 濾材を通過して回収された液体
ケーク 濾材表面に堆積した固体粒子層

沈降と濾過の使い分け

操作 駆動力 適した役割
沈降 重力・遠心力 大量の希薄スラリーの清澄・濃縮
濾過 圧力差 固体をケークとして回収し、液体を分離

沈降でスラリーを濃縮してから濾過すると、濾過装置へ送る液量を減らせます。前段操作としての沈降は、ストークス則と沈降槽の記事で解説しています。

表面濾過と深層濾過

表面濾過

粒子が主に濾材表面で捕捉され、表面にケークを作る濾過です。フィルタープレスやヌッチェフィルターなどのケーク濾過が代表例です。

深層濾過

粒子が濾材内部の複雑な流路で捕捉される濾過です。砂濾過、カートリッジフィルターなどが代表例です。

本記事の数式は、濾材表面にケークが形成されるケーク濾過を対象にします。

濾過の駆動力

液体を濾材とケークへ通す駆動力は、上流側と下流側の圧力差です。

\[
\boxed{
\Delta P
=
P_{\mathrm{up}}-P_{\mathrm{down}}
}
\]

圧力差を作る主な方法は次のとおりです。

  • 重力濾過:液柱の静水圧を利用する
  • 真空濾過:濾材下流を減圧する
  • 加圧濾過:スラリー側をポンプや気体で加圧する
  • 遠心濾過:回転による遠心圧力を利用する

圧力差が大きいほど濾過の駆動力は増えます。しかし、圧縮されやすいケークでは、圧力を上げると粒子層が締まり、ケーク抵抗も増えることがあります。

図解|濾過では、濾材と成長するケークが抵抗になる

濾過では、濾材と成長するケークが抵抗になる上部のスラリーに圧力差をかけ、ケーク層と濾材を通して液体を下へ透過させるとき、ケーク抵抗Rcと濾材抵抗Rmが直列に働く図。 スラリー ケーク層抵抗 Rᶜ(濾過とともに増加) 濾材 抵抗 Rᵐ 濾液 OUT Δp 透過流量 ∝ Δp /[μ(Rᵐ+Rᶜ)]

定圧濾過でも、ケークが厚くなるほどRᶜが増えるため濾過速度は低下します。濾材抵抗とケーク抵抗を直列抵抗として扱うのが基本です。

Darcy則

多孔質層を通る液体の流れは、基本的にDarcy則で表します。濾過面積を \(A\)、液体流量を \(Q\)、液体粘度を \(\mu\)、圧力差を \(\Delta P\)、全濾過抵抗を \(R\) とすると、

\[
\boxed{
\frac{Q}{A}
=
\frac{\Delta P}{\mu R}
}
\]

です。濾液の累積体積を \(V\)、時間を \(t\) とすると、

\[
Q
=
\frac{\mathrm{d}V}{\mathrm{d}t}
\]

なので、

\[
\boxed{
\frac{1}{A}
\frac{\mathrm{d}V}{\mathrm{d}t}
=
\frac{\Delta P}{\mu R}
}
\]

となります。

Darcy則から読み取れること

  • 圧力差 \(\Delta P\) が大きいほど流れやすい
  • 粘度 \(\mu\) が大きいほど流れにくい
  • 濾過抵抗 \(R\) が大きいほど流れにくい
  • 同じ総流量なら、面積 \(A\) が大きいほど単位面積当たりの負荷は小さい

粘度の意味と単位は、粘度・動粘度の記事も参照してください。

濾材抵抗とケーク抵抗

液体は濾材とケークを順番に通過します。二つの抵抗は直列に加わるため、全抵抗は、

\[
\boxed{
R
=
R_m+R_c
}
\]

です。

  • \(R_m\):濾材抵抗 \([\mathrm{m^{-1}}]\)
  • \(R_c\):ケーク抵抗 \([\mathrm{m^{-1}}]\)

したがって、濾過速度式は、

\[
\boxed{
\frac{\mathrm{d}V}{\mathrm{d}t}
=
\frac{A\Delta P}
{\mu(R_m+R_c)}
}
\]

となります。濾過開始直後はケークが薄く、主に濾材抵抗が効きます。濾過が進むとケークが厚くなり、ケーク抵抗が支配的になります。

比ケーク抵抗

ケーク抵抗は、濾過面積1 \(\mathrm{m^2}\) 当たりに堆積した乾燥固体質量に比例すると考えます。ケーク中の乾燥固体質量を \(M_c\)、比ケーク抵抗を \(\alpha\) とすると、

\[
\boxed{
R_c
=
\alpha\frac{M_c}{A}
}
\]

です。

  • \(\alpha\):比ケーク抵抗 \([\mathrm{m/kg}]\)
  • \(M_c/A\):単位濾過面積当たりの乾燥固体質量 \([\mathrm{kg/m^2}]\)

\(\alpha\) が大きいケークほど、同じ堆積固体量でも液体を通しにくくなります。一般に、微粒子が密に詰まったケークは比ケーク抵抗が大きくなります。粒径の考え方は、粒径分布の記事も役立ちます。

濾液体積とケーク抵抗の関係

スラリー中の固体がすべてケークへ捕捉され、濾液体積 \(V\) に対して堆積する乾燥固体質量が、

\[
M_c
=
cV
\]

と表せるとします。ここで、\(c\) は濾液単位体積当たりに堆積する乾燥固体質量 \([\mathrm{kg/m^3}]\) です。

この関係をケーク抵抗式へ代入すると、

\[
\boxed{
R_c
=
\alpha\frac{cV}{A}
}
\]

です。濾液体積 \(V\) が増えるほどケークが成長し、抵抗が大きくなります。

\(c\) の意味に注意
\(c\) は単純なスラリー濃度ではなく、「濾液1 \(\mathrm{m^3}\) を得るときにケークへ蓄積する乾燥固体質量」です。希薄スラリーでは供給スラリーの固体濃度に近似できる場合がありますが、厳密には物質収支、湿ケーク中の液量、固体捕捉率を考慮します。

ケーク濾過の基礎微分式

\[
\frac{\mathrm{d}V}{\mathrm{d}t}
=
\frac{A\Delta P}
{\mu(R_m+R_c)}
\]

へ、

\[
R_c
=
\alpha\frac{cV}{A}
\]

を代入すると、

\[
\frac{\mathrm{d}V}{\mathrm{d}t}
=
\frac{A\Delta P}
{
\mu
\left(
R_m+\alpha\frac{cV}{A}
\right)
}
\]

です。逆数を取ると、

\[
\boxed{
\frac{\mathrm{d}t}{\mathrm{d}V}
=
\frac{\mu}{A\Delta P}
\left(
R_m+\alpha\frac{cV}{A}
\right)
}
\]

となります。この式は、濾液量 \(V\) が増えるほど、追加の濾液を1 \(\mathrm{m^3}\) 得るために必要な時間が増えることを示します。

定圧濾過とは

濾過中の圧力差 \(\Delta P\) を一定に保つ運転を定圧濾過と呼びます。真空濾過や、圧力調整された加圧濾過を単純化するときに用います。

定圧濾過では、

  • 圧力差は一定
  • ケーク抵抗は時間とともに増加
  • 濾過速度 \(\mathrm{d}V/\mathrm{d}t\) は徐々に低下

という挙動になります。

定圧濾過式の導出

ケークを非圧縮性とみなし、\(\mu\)、\(\alpha\)、\(c\)、\(R_m\)、\(\Delta P\) が一定であるとします。

\[
\frac{\mathrm{d}t}{\mathrm{d}V}
=
\frac{\mu R_m}{A\Delta P}
+
\frac{\mu\alpha c}{A^2\Delta P}V
\]

を、\(t=0\)、\(V=0\) から \(t\)、\(V\) まで積分すると、

\[
t
=
\int_0^V
\left(
\frac{\mu R_m}{A\Delta P}
+
\frac{\mu\alpha c}{A^2\Delta P}V
\right)
\mathrm{d}V
\]

\[
\boxed{
t
=
\frac{\mu\alpha c}{2A^2\Delta P}V^2
+
\frac{\mu R_m}{A\Delta P}V
}
\]

を得ます。これが、平面型ケーク濾過の基本的な定圧濾過式です。

二つの時間成分

\[
t
=
\underbrace{
\frac{\mu\alpha c}{2A^2\Delta P}V^2
}_{\text{ケーク抵抗による時間}}
+
\underbrace{
\frac{\mu R_m}{A\Delta P}V
}_{\text{濾材抵抗による時間}}
\]

ケークによる時間は \(V^2\) に比例し、濾材による時間は \(V\) に比例します。そのため、濾過量が大きくなるほどケーク抵抗の影響が急速に増えます。

例題1:定圧濾過の濾過時間を求める

次の条件で、濾液 \(V=0.20\,\mathrm{m^3}\) を得るための時間を求めます。

条件
濾過面積 \(A\) \(0.50\,\mathrm{m^2}\)
圧力差 \(\Delta P\) \(100\,\mathrm{kPa}=1.00\times10^5\,\mathrm{Pa}\)
液体粘度 \(\mu\) \(1.00\times10^{-3}\,\mathrm{Pa\,s}\)
比ケーク抵抗 \(\alpha\) \(2.00\times10^{11}\,\mathrm{m/kg}\)
固体質量係数 \(c\) \(20.0\,\mathrm{kg/m^3}\)
濾材抵抗 \(R_m\) \(1.00\times10^{10}\,\mathrm{m^{-1}}\)

手順1:ケーク抵抗による時間を求める

\[
t_c
=
\frac{\mu\alpha c}{2A^2\Delta P}V^2
\]

\[
t_c
=
\frac{
(1.00\times10^{-3})
(2.00\times10^{11})
(20.0)
(0.20)^2
}{
2(0.50)^2(1.00\times10^5)
}
\]

\[
\boxed{
t_c
=
3200\,\mathrm{s}
}
\]

手順2:濾材抵抗による時間を求める

\[
t_m
=
\frac{\mu R_m}{A\Delta P}V
\]

\[
t_m
=
\frac{
(1.00\times10^{-3})
(1.00\times10^{10})
(0.20)
}{
(0.50)
(1.00\times10^5)
}
\]

\[
\boxed{
t_m
=
40.0\,\mathrm{s}
}
\]

手順3:合計濾過時間を求める

\[
t
=
t_c+t_m
=
3200+40
\]

\[
\boxed{
t
=
3240\,\mathrm{s}
=
54.0\,\mathrm{min}
}
\]

この条件では、全濾過時間の約99%をケーク抵抗が占めます。濾過後半では、濾材よりも成長したケークが主な律速抵抗になっていると判断できます。

\(t/V\) と \(V\) の直線化

定圧濾過式を \(V\) で割ると、

\[
\boxed{
\frac{t}{V}
=
\frac{\mu\alpha c}{2A^2\Delta P}V
+
\frac{\mu R_m}{A\Delta P}
}
\]

となります。これは、

\[
y=mx+b
\]

と同じ一次式です。

グラフ要素 濾過式との対応
横軸 \(x\) 濾液体積 \(V\)
縦軸 \(y\) \(t/V\)
傾き \(m\) \(\mu\alpha c/(2A^2\Delta P)\)
切片 \(b\) \(\mu R_m/(A\Delta P)\)

したがって、定圧濾過試験で \(V\) と \(t\) を測定し、\(t/V\) を \(V\) に対してプロットすれば、傾きから \(\alpha\)、切片から \(R_m\) を評価できます。

例題2:濾過試験から抵抗を求める

定圧濾過試験で、次の結果を得ました。

\(V\,[\mathrm{m^3}]\) \(t\,[\mathrm{s}]\) \(t/V\,[\mathrm{s/m^3}]\)
0.050 220 4400
0.100 840 8400

条件は、

\[
A=0.20\,\mathrm{m^2},
\quad
\Delta P=5.00\times10^4\,\mathrm{Pa}
\]

\[
\mu=1.00\times10^{-3}\,\mathrm{Pa\,s},
\quad
c=10.0\,\mathrm{kg/m^3}
\]

です。

手順1:直線の傾きと切片を求める

\[
m
=
\frac{8400-4400}{0.100-0.050}
=
8.00\times10^4\,\mathrm{s/m^6}
\]

\[
b
=
4400

(8.00\times10^4)(0.050)
=
400\,\mathrm{s/m^3}
\]

手順2:比ケーク抵抗を求める

\[
m
=
\frac{\mu\alpha c}{2A^2\Delta P}
\]

より、

\[
\alpha
=
\frac{2A^2\Delta Pm}{\mu c}
\]

\[
\boxed{
\alpha
=
3.20\times10^{10}\,\mathrm{m/kg}
}
\]

手順3:濾材抵抗を求める

\[
b
=
\frac{\mu R_m}{A\Delta P}
\]

より、

\[
R_m
=
\frac{bA\Delta P}{\mu}
\]

\[
\boxed{
R_m
=
4.00\times10^9\,\mathrm{m^{-1}}
}
\]

実験点を2点だけで直線化すると誤差に弱いため、実際には複数の測定点を使い、回帰直線から傾きと切片を求めます。

定速濾過とは

濾過流量を一定に保つ運転を定速濾過または定流量濾過と呼びます。濾過面積当たりの速度を、

\[
J
=
\frac{1}{A}
\frac{\mathrm{d}V}{\mathrm{d}t}
\]

とすると、Darcy則から、

\[
\boxed{
\Delta P
=
\mu J
\left(
R_m+\alpha\frac{cV}{A}
\right)
}
\]

です。流量 \(J\) を一定に保つには、ケーク抵抗の増加に合わせて圧力差を上げる必要があります。

運転方式 一定に保つ量 時間とともに変わる量
定圧濾過 圧力差 流量が低下する
定速濾過 流量 必要圧力が上昇する

圧縮性ケーク

粒子が軟らかい、微細である、凝集構造を持つなどの場合、圧力差を上げるとケークが圧縮され、空隙が減って比ケーク抵抗が増えます。代表的には、

\[
\boxed{
\alpha
=
\alpha_0(\Delta P)^s
}
\]

と表します。

  • \(s=0\):非圧縮性ケーク
  • \(0<s<1\):圧縮性ケーク
  • \(s\) が大きいほど圧力依存性が強い

ケーク抵抗が支配的な定圧濾過では、

\[
t_c
\propto
\frac{\alpha}{\Delta P}
\propto
(\Delta P)^{s-1}
\]

です。圧縮性ケークでは圧力を上げても \(\alpha\) が同時に増えるため、濾過時間の短縮効果は理想的な \(1/\Delta P\) より小さくなります。

濾過面積を増やす効果

ケーク抵抗が支配的な定圧濾過では、

\[
t_c
=
\frac{\mu\alpha c}{2A^2\Delta P}V^2
\]

なので、同じ濾液体積 \(V\) を得るなら、

\[
t_c\propto\frac{1}{A^2}
\]

です。一方、面積に比例して処理量も増やし、単位面積当たりの濾液量 \(v=V/A\) を一定にすると、

\[
\frac{t}{A}
\text{ではなく}
\quad
t
\text{が同じ}
\]

となります。スケールアップでは、総濾液量だけでなく \(V/A\) をそろえて比較することが重要です。

ケーク洗浄と脱液

濾過後のケークには母液が残っています。製品純度を上げるため、洗浄液をケークへ通して母液や可溶性不純物を置換する操作がケーク洗浄です。

  1. スラリーを濾過してケークを形成する
  2. 洗浄液を供給し、ケーク内の母液を置換する
  3. 気体・真空・圧搾でケーク内の液体を減らす
  4. ケークを排出する

濾過後もケーク内部には液体が残るため、必要に応じて乾燥操作へ送ります。

代表的な濾過装置

装置 運転 特徴
フィルタープレス 回分・加圧 高い圧力差を使え、比較的低含液率のケークを得やすい
加圧ヌッチェフィルター 回分・加圧 密閉下で濾過・洗浄・脱液を行いやすい
回転真空ドラムフィルター 連続・真空 連続処理に適し、濾過・洗浄・脱水・剥離を一周で行う
ベルトフィルター 連続・真空 大きな濾過面積を確保しやすく、ケーク洗浄に向く
バッグ・カートリッジフィルター 回分交換または連続通液 清澄濾過や異物除去に使われる

装置選定では、処理量、粒径、固体濃度、ケークの圧縮性、洗浄要求、密閉性、自動化、ケーク排出性を比較します。

濾過操作のサイクル

回分式濾過機の1サイクルは、濾過時間だけではありません。

\[
t_{\mathrm{cycle}}
=
t_{\mathrm{feed}}
+
t_{\mathrm{filtration}}
+
t_{\mathrm{wash}}
+
t_{\mathrm{dewatering}}
+
t_{\mathrm{discharge}}
+
t_{\mathrm{cleaning}}
\]

1サイクル当たりの平均処理能力は、

\[
\boxed{
\overline{Q}
=
\frac{V_{\mathrm{filtrate}}}
{t_{\mathrm{cycle}}}
}
\]

です。濾過時間だけを短くしても、ケーク排出や濾布洗浄に長時間かかれば、装置全体の生産性は上がりません。

濾過計算の手順

  1. 濾過面積、圧力差、液粘度、目標濾液量をそろえる
  2. 回分・連続、定圧・定速の運転方式を確認する
  3. 濾材抵抗 \(R_m\)、比ケーク抵抗 \(\alpha\)、固体質量係数 \(c\) を確認する
  4. 非圧縮性ケークの仮定が妥当か確認する
  5. 定圧濾過式などから濾過時間または流量を求める
  6. ケーク抵抗と濾材抵抗の寄与を比較する
  7. 洗浄、脱液、排出、洗浄を含むサイクル時間を評価する
  8. 実スラリーの濾過試験で特性値を測定する

\(c\) やケーク固体量を求めるときは、物質収支の基本も利用します。

よくある間違い

1. 圧力差を絶対圧力と混同する

濾過の駆動力は上流と下流の差 \(\Delta P\) です。真空濾過でも大気圧と真空側圧力の差を使います。

2. kPaをPaへ変換しない

\[
1\,\mathrm{kPa}
=
1.00\times10^3\,\mathrm{Pa}
\]

です。SI単位で計算するときは、圧力をPaにそろえます。

3. 濾材抵抗だけで計算する

ケーク濾過では時間とともに \(R_c\) が増え、後半はケーク抵抗が支配的になることがあります。

4. スラリー濃度をそのまま \(c\) に入れる

\(c\) は濾液単位体積当たりの堆積乾燥固体質量です。濾液量と供給スラリー量が同じとは限らないため、必要に応じて物質収支を取ります。

5. 圧力を上げれば反比例して速くなると考える

圧縮性ケークでは圧力上昇とともに \(\alpha\) が増え、期待ほど濾過速度が上がらない場合があります。

6. 濾過時間だけで装置能力を決める

回分装置では、供給、洗浄、脱液、排出、濾布洗浄を含むサイクル時間で平均処理能力を求めます。

7. 実験点を2点だけで直線化する

\(t/V\)–\(V\) プロットは複数点で作成し、初期の濾材なじみ、粒子漏れ、圧力安定化の影響も確認します。

確認問題

3問のミニテストで、ここまでの内容を確認しましょう。選択すると、その場で正誤と解説が表示されます。

QUICK CHECK

1 / 3

分離工学・初級

このミニテストの回答結果は保存されません。学習記録を残す場合は化工演習室をご利用ください。

まとめ

  • 濾過は、圧力差で流体を濾材へ通し、粒子を分離する操作
  • ケーク濾過の全抵抗は \(R=R_m+R_c\)
  • ケーク抵抗は \(R_c=\alpha cV/A\) と表せる
  • 定圧濾過では、ケーク成長によって濾過速度が徐々に低下する
  • 定圧濾過式は \(t=\mu\alpha cV^2/(2A^2\Delta P)+\mu R_mV/(A\Delta P)\)
  • \(t/V\) を \(V\) に対してプロットすると、傾きから \(\alpha\)、切片から \(R_m\) を求められる
  • 圧縮性ケークでは、圧力を上げると比ケーク抵抗も増える
  • 装置能力は濾過だけでなく、洗浄・脱液・排出を含むサイクルで評価する
次に学ぶ内容
次の記事では、精密濾過、限外濾過、ナノ濾過、逆浸透の違いと、膜透過流束・阻止率・濃度分極を解説します。

参考資料

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