化学工学の基礎を、数式と直感の両面から初学者にもわかりやすくお届けします。
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液体を加熱すると、液体よりも蒸気のほうに沸点の低い成分が多く含まれます。この「蒸気側へどれくらい濃縮されやすいか」を一つの数値で表すのが比揮発度です。比揮発度がわかると、気液平衡の計算が簡潔になり、二成分系の \(x-y\) 線図も式から描けます。
比揮発度は蒸留計算の入口に位置する重要な量です。しかし、「飽和蒸気圧の比なのか」「\(y/x\) なのか」「なぜ \(x-y\) 線図の式が出てくるのか」が混同されがちです。
この記事では、比揮発度の定義を \(K\) 値から導き、実測気液平衡データと飽和蒸気圧から求める方法を例題で解説します。先に泡点・露点や \(T-x-y\)、\(P-x-y\) 線図を復習したい方は、気液平衡図の読み方をご覧ください。
- 比揮発度が表す物理的な意味
- 平衡比 \(K_i=y_i/x_i\) と比揮発度の関係
- 実測した液相組成・気相組成から比揮発度を求める方法
- 理想溶液で飽和蒸気圧から比揮発度を求める方法
- 比揮発度から \(x-y\) 気液平衡線を導く方法
- 比揮発度の大きさと蒸留のしやすさ・共沸の関係
比揮発度とは
揮発度とは、物質が液体から蒸気へ移りやすい性質です。同じ温度なら、一般に飽和蒸気圧が高い成分ほど揮発しやすく、沸点が低い成分ほど揮発しやすいと考えられます。
二つの成分AとBを含む液体を考え、Aのほうが揮発しやすい成分とします。液相中のAのモル分率を \(x_A\)、気相中のAのモル分率を \(y_A\) とすると、気液平衡では通常、
\[
y_A>x_A
\]
となります。液相よりも気相のほうがAに富んでいるためです。この濃縮の強さを、AとBの相対的な揮発しやすさとして表したものが比揮発度です。
比揮発度はギリシャ文字の \(\alpha\) で表し、「AのBに対する比揮発度」を \(\alpha_{AB}\) と書きます。
まず平衡比Kを理解しよう
比揮発度の定義には平衡比、またはK値を使います。成分 \(i\) の平衡比は、平衡にある気相組成と液相組成の比です。
\[
\boxed{K_i=\frac{y_i}{x_i}}
\]
ここで、
- \(x_i\):液相中の成分 \(i\) のモル分率
- \(y_i\):気相中の成分 \(i\) のモル分率
- \(K_i\):成分 \(i\) の平衡比(無次元)
です。\(K_i>1\) なら、その成分は液相より気相に多く含まれやすいことを示します。反対に \(K_i<1\) なら、液相に残りやすい成分です。
ただし、K値だけでは「AとBのどちらがどの程度分離しやすいか」を直接比較しにくいため、二成分のK値の比を取ります。これが比揮発度です。
比揮発度の定義式
AのBに対する比揮発度は、次式で定義されます。
\[
\boxed{\alpha_{AB}=\frac{K_A}{K_B}}
\]
K値の定義を代入すると、
\[
\boxed{
\alpha_{AB}
=\frac{y_A/x_A}{y_B/x_B}
}
\]
となります。つまり比揮発度は、気相と液相の組成比を、二つの成分どうしで比較した値です。単位を持たない無次元数です。
二成分系では、
\[
x_B=1-x_A,\qquad y_B=1-y_A
\]
なので、
\[
\boxed{
\alpha_{AB}
=\frac{y_A/(1-y_A)}{x_A/(1-x_A)}
}
\]
とも書けます。分子の \(y_A/(1-y_A)\) は気相におけるAとBの比、分母の \(x_A/(1-x_A)\) は液相におけるAとBの比です。比揮発度は、AとBの比が液相から気相へ移ると何倍になるかを表していると理解できます。
\(\alpha_{AB}=2.5\) なら、AとBのモル比は、液相から平衡な気相へ移ると2.5倍になります。Aだけの濃度が2.5倍になるという意味ではありません。必ず「A/Bという比」を比較します。
比揮発度の大きさをどう読むか
Aを基準となる高揮発度成分として \(\alpha_{AB}\) を定義した場合、値は次のように読めます。
| 比揮発度 | 意味 | 気液平衡線 | 蒸留分離 |
|---|---|---|---|
| \(\alpha_{AB}>1\) | AのほうがBより揮発しやすい | \(y_A=x_A\) の対角線より上 | Aを塔頂側へ濃縮できる |
| \(\alpha_{AB}=1\) | AとBの揮発しやすさが同じ | 対角線と一致 | 通常の蒸留では分離できない |
| \(\alpha_{AB}<1\) | AよりBのほうが揮発しやすい | 対角線より下 | 成分の基準を逆にすると理解しやすい |
AとBの順番を逆にすれば、
\[
\alpha_{BA}=\frac{1}{\alpha_{AB}}
\]
です。したがって、
\[
\alpha_{AB}\alpha_{BA}=1
\]
となります。蒸留計算では通常、より揮発しやすい成分を分子側に置き、\(\alpha>1\) となるように定義します。
比揮発度からx-y線図の式を導く
二成分系でAを高揮発度成分とします。比揮発度の定義式は、
\[
\alpha
=\frac{y_A/x_A}{(1-y_A)/(1-x_A)}
\]
です。両辺を整理すると、
\[
\alpha x_A(1-y_A)=y_A(1-x_A)
\]
さらに展開して、
\[
\alpha x_A
=y_A\left[1+(\alpha-1)x_A\right]
\]
となるため、気相組成 \(y_A\) は、
\[
\boxed{
y_A=\frac{\alpha x_A}{1+(\alpha-1)x_A}
}
\]
で求められます。これが比揮発度を一定とみなした二成分系の気液平衡線です。MIT OpenCourseWareの分離プロセス教材でも、一定比揮発度から同じ式を用いて平衡線を作成しています。
逆に、気相組成 \(y_A\) から液相組成 \(x_A\) を求めるときは、
\[
\boxed{
x_A=\frac{y_A}{\alpha-(\alpha-1)y_A}
}
\]
を使えます。
比揮発度2.5のx-yデータ
\(\alpha=2.5\) として式に液相組成を代入すると、次の値になります。
| 液相組成 \(x_A\) | 平衡気相組成 \(y_A\) | 気相での濃縮 |
|---|---|---|
| 0.10 | 0.217 | 10.0 mol% → 21.7 mol% |
| 0.20 | 0.385 | 20.0 mol% → 38.5 mol% |
| 0.40 | 0.625 | 40.0 mol% → 62.5 mol% |
| 0.60 | 0.789 | 60.0 mol% → 78.9 mol% |
| 0.80 | 0.909 | 80.0 mol% → 90.9 mol% |
\(0<x_A<1\) では常に \(y_A>x_A\) となり、平衡曲線は対角線 \(y=x\) より上に位置します。\(\alpha\) が大きいほど曲線は対角線から上へ離れ、一回の気液接触で得られる濃縮効果が大きくなります。
同じ液相組成でも比揮発度で結果が変わる
たとえば \(x_A=0.30\) のとき、比揮発度による違いは次のとおりです。
| 比揮発度 \(\alpha\) | 平衡気相組成 \(y_A\) | 特徴 |
|---|---|---|
| 1.5 | 0.391 | 対角線に近く、濃縮効果が小さい |
| 2.5 | 0.517 | 一回の接触でも組成差が明確 |
| 5.0 | 0.682 | 高揮発度成分が強く気相へ濃縮 |
この違いが、必要な理論段数や還流量に影響します。比揮発度が1に近い混合物ほど、同じ分離を達成するために多くの段や大きな還流が必要になります。
比揮発度の求め方1:実測したxとyから求める
同じ温度・圧力で平衡にある液相組成と気相組成がわかれば、定義式へそのまま代入できます。
例題1:気液平衡データから比揮発度を計算
成分AとBの二成分系で、平衡時の組成が次のように測定されました。
\[
x_A=0.350,\qquad y_A=0.570
\]
このとき、
\[
x_B=1-0.350=0.650
\]
\[
y_B=1-0.570=0.430
\]
です。比揮発度は、
\[
\begin{aligned}
\alpha_{AB}
&=\frac{y_A/x_A}{y_B/x_B}\\
&=\frac{0.570/0.350}{0.430/0.650}\\
&=2.46
\end{aligned}
\]
したがって、
\[
\boxed{\alpha_{AB}\approx2.46}
\]
です。A/Bの比は液相では \(0.350/0.650=0.538\)、気相では \(0.570/0.430=1.326\) です。気相のA/B比は液相の約2.46倍になっています。
求めた \(\alpha=2.46\) と \(x_A=0.350\) を \(x-y\) 式へ代入すると \(y_A\approx0.570\) に戻ります。定義式の分子・分母を逆にしていないか確認する方法として有効です。
比揮発度の求め方2:飽和蒸気圧から求める
液相を理想溶液、気相を理想気体とみなせる低圧系では、ラウールの法則から、
\[
y_iP=x_iP_i^{\mathrm{sat}}
\]
です。したがって、K値は、
\[
K_i=\frac{y_i}{x_i}
=\frac{P_i^{\mathrm{sat}}}{P}
\]
となります。AとBの比を取ると全圧 \(P\) が消え、
\[
\boxed{
\alpha_{AB}
=\frac{P_A^{\mathrm{sat}}}{P_B^{\mathrm{sat}}}
}
\]
を得ます。つまり、理想溶液では同じ温度における飽和蒸気圧の比が比揮発度です。飽和蒸気圧と温度の関係は、蒸気圧とクラウジウス・クラペイロンの式で詳しく解説しています。
例題2:ベンゼン―トルエン系
95 ℃におけるベンゼンAとトルエンBを理想溶液とみなします。NIST Chemistry WebBookのAntoine式から得られる飽和蒸気圧を、
\[
P_A^{\mathrm{sat}}=157.4\ \mathrm{kPa},\qquad
P_B^{\mathrm{sat}}=63.6\ \mathrm{kPa}
\]
とします。比揮発度は、
\[
\begin{aligned}
\alpha_{AB}
&=\frac{157.4}{63.6}\\
&=2.47
\end{aligned}
\]
したがって、
\[
\boxed{\alpha_{AB}\approx2.47}
\]
です。液相中のベンゼン組成が \(x_A=0.400\) なら、平衡な気相組成は、
\[
\begin{aligned}
y_A
&=\frac{(2.47)(0.400)}{1+(2.47-1)(0.400)}\\
&=0.622
\end{aligned}
\]
となります。液相ではベンゼン40.0 mol%ですが、最初に生じる平衡蒸気では約62.2 mol%まで濃縮されます。これは前の記事でラウールの法則から直接求めた値と一致します。
実在溶液の比揮発度
実在溶液では、分子間相互作用によってラウールの法則からずれることがあります。低圧で気相を理想気体とみなし、液相の非理想性を活量係数 \(\gamma_i\) で表すと、
\[
y_iP=x_i\gamma_iP_i^{\mathrm{sat}}
\]
です。このとき、
\[
K_i=\frac{\gamma_iP_i^{\mathrm{sat}}}{P}
\]
なので、
\[
\boxed{
\alpha_{AB}
=\frac{\gamma_AP_A^{\mathrm{sat}}}
{\gamma_BP_B^{\mathrm{sat}}}
}
\]
となります。活量係数は一般に温度と組成の関数です。そのため、実在溶液の比揮発度も組成に応じて変化します。高圧では気相の非理想性やポインティング補正も必要となるため、より一般的なフガシティに基づく気液平衡モデルを用います。
比揮発度は本当に一定なのか
教科書の初歩的な問題では「比揮発度を一定とする」と書かれることが多いですが、これは近似です。比揮発度は次の要因で変わります。
- 温度:各成分の飽和蒸気圧が温度によって異なる割合で変化する
- 組成:実在溶液では活量係数が組成によって変化する
- 圧力:圧力変化に伴って平衡温度が変わり、高圧では気相非理想性も強くなる
理想溶液で一定温度なら、\(\alpha=P_A^{\mathrm{sat}}/P_B^{\mathrm{sat}}\) は組成に依存しません。しかし、蒸留塔は通常ほぼ一定圧力で運転され、塔底から塔頂へ温度が変わります。したがって、塔内全体で厳密に同じ比揮発度になるとは限りません。
設計の概算では、塔頂と塔底の比揮発度から幾何平均を取り、
\[
\alpha_{\mathrm{avg}}
=\sqrt{\alpha_{\mathrm{top}}\alpha_{\mathrm{bottom}}}
\]
のように平均比揮発度を置くことがあります。精密設計では、各段の温度・圧力・組成に対応するK値を逐次計算します。
比揮発度と蒸留のしやすさ
比揮発度が大きいほど、一回の気液平衡で高揮発度成分が気相へ強く濃縮されます。たとえば \(\alpha=2.5\) とし、液相組成10 mol%から生じた蒸気を全凝縮して、再び平衡蒸発させる理想化した操作を考えます。
| 平衡接触 | 液側に与えるA組成 | 得られる平衡蒸気のA組成 |
|---|---|---|
| 1回目 | 0.100 | 0.217 |
| 2回目 | 0.217 | 0.410 |
| 3回目 | 0.410 | 0.635 |
この例では平衡接触を重ねるほどAが濃縮されています。蒸留塔は、段上や充填物表面で気相と液相を繰り返し接触させ、この濃縮を連続的に利用する装置です。
ただし、この表は平衡蒸気を毎回すべて凝縮して再蒸発させる理想化した説明です。実際の連続蒸留塔では上昇蒸気と下降液が向流接触し、物質収支、還流比、原料の熱状態、段効率なども結果に影響します。
全還流で必要な最小段数との関係
多成分蒸留の概算で用いられるFenskeの式では、平均比揮発度が必要最小段数に直接現れます。二つの鍵成分について簡略化して書くと、
\[
N_{\min}
=\frac{
\ln\!\left[
\left(\dfrac{x_{D,LK}}{x_{D,HK}}\right)
\left(\dfrac{x_{B,HK}}{x_{B,LK}}\right)
\right]
}{\ln\alpha_{\mathrm{avg}}}
\]
です。\(LK\) は低沸点鍵成分、\(HK\) は高沸点鍵成分、\(D\) は塔頂、\(B\) は塔底を表します。分母が \(\ln\alpha\) なので、\(\alpha\) が1へ近づくと必要段数が急増します。
Fenskeの式は全還流での最小段数を与える式であり、実運転で必要な段数そのものではありません。ここでは「比揮発度が1に近いと分離が難しい」ことを定量的に示す式として捉えてください。
共沸点では何が起こるか
共沸点では、平衡な液相組成と気相組成が等しくなります。
\[
x_A=y_A
\]
すると、AとBの相対的な組成比は液相と気相で同じなので、
\[
\alpha_{AB}=1
\]
です。\(x-y\) 線図では気液平衡線が対角線 \(y=x\) と交わります。この点では気化・凝縮を行っても組成が変わらないため、通常の単純蒸留だけで共沸組成を越えて濃縮することはできません。
「純物質の沸点差があるから必ず蒸留できる」と考えるのは危険です。実際の分離可能性は、対象圧力・温度・組成範囲における気液平衡と比揮発度で判断します。
多成分系では鍵成分を基準にする
三成分以上の混合物では、すべての成分対について比揮発度を定義できます。ただし、蒸留設計では分離境界付近の二成分である低沸点鍵成分(LK)と高沸点鍵成分(HK)を選び、
\[
\alpha_{i,HK}=\frac{K_i}{K_{HK}}
\]
のように高沸点鍵成分を基準とすることがよくあります。LKよりも軽い非鍵成分は主に塔頂へ、HKよりも重い非鍵成分は主に塔底へ移ると考え、まず鍵成分の分離を中心に設計します。
比揮発度を使う手順
- 対象成分と基準を決める:高揮発度成分A、低揮発度成分Bとする
- 温度・圧力を確認する:比揮発度は状態条件に依存する
- 利用できるデータを確認する:実測 \(x,y\)、K値、飽和蒸気圧、活量係数モデルのどれを使うか決める
- 比揮発度を計算する:\(\alpha=(y_A/x_A)/(y_B/x_B)\) または \(\alpha=P_A^{sat}/P_B^{sat}\)
- 必要なら \(x-y\) 式へ代入する:\(y=\alpha x/[1+(\alpha-1)x]\)
- 仮定を確認する:一定比揮発度、理想溶液、理想気体という近似が妥当か確認する
- 蒸留計算へつなげる:平衡線と操作線から段数・還流比などを検討する
よくある間違い
比揮発度を単にy/xとする
\(y_A/x_A\) はAのK値であり、AのBに対する比揮発度ではありません。比揮発度は二成分のK値の比です。
\[
\alpha_{AB}=\frac{y_A/x_A}{y_B/x_B}
\]
と、B側の組成比まで含めます。
質量分率をそのまま代入する
気液平衡や比揮発度の式に現れる \(x\) と \(y\) は、通常モル分率です。質量分率のデータなら、分子量を使ってモル分率へ換算してから計算します。
成分の順番を途中で逆にする
\(\alpha_{AB}\) と \(\alpha_{BA}\) は逆数です。例題の最初に「Aを高揮発度成分、Bを低揮発度成分とする」と明記すると、分子・分母の取り違えを防げます。
比揮発度をどの条件でも一定と考える
一定比揮発度は便利な近似ですが、実在系では温度・圧力・組成で変化します。広い組成範囲を扱う場合や共沸が疑われる場合は、一点の値だけで判断しないでください。
飽和蒸気圧の比をすべての系に使う
\(\alpha=P_A^{sat}/P_B^{sat}\) は、理想溶液・理想気体の近似で導かれます。非理想溶液では活量係数を含む式や、実測VLEデータ、適切な状態方程式を使います。
比揮発度が大きければ装置条件を無視できると考える
比揮発度は平衡上の分離しやすさを示しますが、実際の塔性能は段効率、圧力損失、還流比、供給段、熱収支などにも左右されます。比揮発度だけで製品純度や必要エネルギーが決まるわけではありません。
確認問題
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1 / 3分離工学・初級
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まとめ
- 比揮発度は、二成分の相対的な揮発しやすさを表す無次元数である
- 平衡比は \(K_i=y_i/x_i\)、比揮発度は \(\alpha_{AB}=K_A/K_B\) である
- 二成分系では \(\alpha=[y_A/(1-y_A)]/[x_A/(1-x_A)]\) と書ける
- 一定比揮発度なら \(y=\alpha x/[1+(\alpha-1)x]\) から \(x-y\) 平衡線を描ける
- 理想溶液では、同じ温度における飽和蒸気圧の比 \(P_A^{sat}/P_B^{sat}\) が比揮発度になる
- \(\alpha\) が大きいほど一回の気液接触による濃縮が大きく、蒸留しやすい
- \(\alpha=1\) では気液の相対組成が同じになり、通常の蒸留では分離できない
- 実在溶液では活量係数を含み、比揮発度は温度・圧力・組成によって変化し得る
比揮発度は、物性値と蒸留塔設計をつなぐ橋渡し役です。まずは「液相のA/B比が気相で何倍になるか」という直感を持ち、次に定義式と \(x-y\) 式を結び付けてください。ここまで理解できれば、フラッシュ蒸留やMcCabe–Thiele法の平衡線を迷わず扱えるようになります。
気液平衡・蒸留・分離工学の確認問題は、無料のかこまるの化工演習室で解けます。学習IDを作れば、端末をまたいで学習履歴を同期できます。
参考資料
- MIT OpenCourseWare: Liquid-Vapor Equilibria in Mixtures
- MIT OpenCourseWare: Separation Processes, Problem Set 2 Solution
- NIST Chemistry WebBook: Benzene
- NIST Chemistry WebBook: Toluene
- LearnChemE: Flash Separations
本記事の数値例では、学習用の理想溶液・一定比揮発度近似を使用しています。実装置の設計では、対象物質系と運転条件に対応する実測気液平衡データ、検証済みの活量係数モデルまたは状態方程式を使用してください。


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