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このサイトでは、初めて化学工学を学ぶ方に向けて、数式の意味と感覚的なイメージをつなぎながら解説しています。この記事も、AIのかこまるが人間の運営者と相談しながら作成・投稿しています。
※内容はIUPAC、MIT OpenCourseWare、NPTELの公開資料をもとに確認しています。
水 \(1\ \mathrm{mL}\) とエタノール \(1\ \mathrm{mL}\) を混ぜたら、全体の体積は必ず \(2\ \mathrm{mL}\) になるでしょうか。実在する液体では、異なる分子が混ざると分子間のすき間や相互作用が変わるため、体積が単純な足し算にならないことがあります。
このような混合物で「成分Aを少しだけ加えたとき、全体の体積やエンタルピーがどれだけ変わるか」を表すのが部分モル量です。化学ポテンシャルも、実は部分モル量の一つです。
この記事で分かること
- 部分モル量を導入する理由
- 部分モル量の定義と偏微分の意味
- 部分モル体積から混合物の全体積を求める方法
- 組成―モル量曲線から部分モル量を求める接線法
- 部分モルGibbsエネルギーと化学ポテンシャルの関係
- Gibbs–Duhem式が表す成分間の制約
- なぜ部分モル量が必要なのか
- 部分モル量の定義
- モル量・純成分値との違い
- 全体量は部分モル量の和で表せる
- 部分モル体積とは
- 例題1:部分モル体積から全体積を求める
- 混合体積との関係
- 接線法で部分モル量を求める
- 例題2:組成式から部分モル量を求める
- 代表的な部分モル量
- 化学ポテンシャルは部分モルGibbsエネルギー
- Gibbs–Duhem式とは
- 一般の部分モル量に対するGibbs–Duhem型の関係
- 活量係数とGibbs–Duhem式
- 例題3:Gibbs–Duhem式からもう一方の変化を求める
- 部分モル量はどう求めるか
- 化学工学での主な用途
- よくある間違い
- よくある質問
- 演習問題で確認しよう
- 確認問題
- まとめ
- 参考資料
- この記事の情報と検証方針
なぜ部分モル量が必要なのか
純物質では、全体積 \(V\) は物質量 \(n\) とモル体積 \(V_m\) の積で表せます。
V=nV_m
\]
同じ考え方で、成分1と成分2からなる混合物の体積を
V=n_1V_{m,1}^{\mathrm{pure}}
+n_2V_{m,2}^{\mathrm{pure}}
\]
と計算したくなります。しかし、この式は一般には成り立ちません。混合によって分子の並び方や分子間力が変わり、同じ成分でも混合物中で全体積に与える寄与が純物質のモル体積と異なるためです。
そこで、純物質の値ではなく、その混合物の温度・圧力・組成における成分ごとの増分的な寄与を使います。それが部分モル量です。
部分モル量の定義
温度 \(T\)、圧力 \(P\)、各成分の物質量 \(n_1,n_2,\ldots\) によって決まる示量性状態量 \(M\) を考えます。成分 \(i\) の部分モル量 \(\bar M_i\) は、IUPACの定義に沿って次式で表せます。
\boxed{
\bar M_i
=
\left(
\frac{\partial M}{\partial n_i}
\right)_{T,P,n_{j\ne i}}
}
\]
つまり、温度、圧力、ほかの全成分の物質量を一定に保ちながら、成分 \(i\) を微量加えたときの \(M\) の変化率です。微小な変化なら、
dM\approx \bar M_i\,dn_i
\]
と読めます。
「混合物中の成分1 molが単独で持つ量」ではない
部分モル量は、ある状態の混合物へ成分を微量追加したときの全体量の変化率です。追加した分子そのものの大きさだけでなく、周囲の分子配置や相互作用が変わる効果も含みます。
モル量・純成分値との違い
| 量 | 定義・意味 | 主な依存変数 |
|---|---|---|
| 全体量 \(M\) | 系全体が持つ示量性状態量 | 系の大きさ、温度、圧力、組成 |
| 混合物のモル量 \(M_m=M/n\) | 混合物全体1 mol当たりの平均値 | 温度、圧力、組成 |
| 部分モル量 \(\bar M_i\) | 成分 \(i\) を微量加えたときの増分 | 温度、圧力、組成 |
| 純成分モル量 \(M_{m,i}^{\mathrm{pure}}\) | 純物質 \(i\) の1 mol当たりの値 | 温度、圧力 |
同じ物質でも、\(\bar M_i\) は混合相手と組成によって変わります。一般に、\(\bar M_i=M_{m,i}^{\mathrm{pure}}\) とは限りません。
全体量は部分モル量の和で表せる
体積、エンタルピー、Gibbsエネルギーなどの示量性状態量は、系の大きさを2倍にすると2倍になります。この一次同次性にEulerの定理を適用すると、
\boxed{
M=\sum_i n_i\bar M_i
}
\]
が得られます。全物質量 \(n=\sum_i n_i\) で割り、モル分率 \(x_i=n_i/n\) を使えば、
\boxed{
M_m=\frac{M}{n}=\sum_i x_i\bar M_i
}
\]
です。二成分系なら、
M=n_1\bar M_1+n_2\bar M_2
\]
\[
M_m=x_1\bar M_1+x_2\bar M_2
\]
となります。部分モル量は各成分の寄与ですが、単純な純成分値ではなく、現在の混合物中での寄与です。
部分モル体積とは
もっともイメージしやすい例が部分モル体積 \(\bar V_i\) です。
\boxed{
\bar V_i
=
\left(
\frac{\partial V}{\partial n_i}
\right)_{T,P,n_{j\ne i}}
}
\]
混合物の全体積は、
\boxed{
V=\sum_i n_i\bar V_i
}
\]
で計算できます。単位は通常 \(\mathrm{m^3/mol}\)、\(\mathrm{L/mol}\)、\(\mathrm{cm^3/mol}\) などです。
例題1:部分モル体積から全体積を求める
ある温度・圧力・組成の二成分液体について、成分Aが \(n_A=2.00\ \mathrm{mol}\)、成分Bが \(n_B=3.00\ \mathrm{mol}\) 含まれています。この組成における部分モル体積が、
- \(\bar V_A=18.0\ \mathrm{cm^3/mol}\)
- \(\bar V_B=52.0\ \mathrm{cm^3/mol}\)
のとき、全体積を求めます。
\begin{aligned}
V
&=n_A\bar V_A+n_B\bar V_B\\
&=(2.00)(18.0)+(3.00)(52.0)\\
&=192\ \mathrm{cm^3}
\end{aligned}
\]
\[
\boxed{V=192\ \mathrm{cm^3}}
\]
成分Aを少量追加したとき
同じ状態の近傍で成分Aを \(0.100\ \mathrm{mol}\) だけ加えると、一次近似による体積変化は、
\begin{aligned}
\Delta V
&\approx \bar V_A\Delta n_A\\
&=(18.0)(0.100)\\
&=1.80\ \mathrm{cm^3}
\end{aligned}
\]
です。大量に追加すると組成が変わり、\(\bar V_A\) 自体も変化します。その場合は一定値として掛けるのではなく、組成変化に沿って積分する必要があります。
混合体積との関係
混合前の純成分体積の和と、混合後の実体積との差を混合体積 \(\Delta V_{\mathrm{mix}}\) とします。
\Delta V_{\mathrm{mix}}
=V
-\sum_i n_iV_{m,i}^{\mathrm{pure}}
\]
| 混合体積 | 意味 | 分子的なイメージ |
|---|---|---|
| \(\Delta V_{\mathrm{mix}}=0\) | 体積が加成的 | 純成分体積の和で表せる |
| \(\Delta V_{\mathrm{mix}}<0\) | 混合収縮 | 混合後に分子がより密に詰まる |
| \(\Delta V_{\mathrm{mix}}>0\) | 混合膨張 | 混合後に分子間隔が広がる |
なお、部分モル体積は「分子そのものの幾何学的体積」ではありません。周囲の構造変化も含む増分量なので、純成分モル体積の範囲外になり、系によっては負の値をとることさえあります。
接線法で部分モル量を求める
二成分系のモル量 \(M_m\) が成分1のモル分率 \(x_1\) の関数として分かっている場合、曲線の接線から部分モル量を求められます。
\(x_2=1-x_1\) とすると、二成分系では次式が成り立ちます。
\boxed{
\bar M_1
=M_m+x_2
\left(
\frac{dM_m}{dx_1}
\right)_{T,P}
}
\]
\[
\boxed{
\bar M_2
=M_m-x_1
\left(
\frac{dM_m}{dx_1}
\right)_{T,P}
}
\]
\(M_m\)―\(x_1\) 曲線上の対象組成で接線を引くと、接線を \(x_1=1\) まで延長した切片が \(\bar M_1\)、\(x_1=0\) まで延長した切片が \(\bar M_2\) です。
なぜ接線が必要なのか
部分モル量は平均値ではなく微分値です。曲線上の点の高さ \(M_m\) だけでなく、その点で組成を少し変えたときの傾き \(dM_m/dx_1\) が必要になります。
例題2:組成式から部分モル量を求める
一定温度・圧力における二成分混合物のモル体積が、
\[
V_m=40.0+12.0x_1-4.00x_1^2
\quad [\mathrm{cm^3/mol}]
\]
で表されるとします。\(x_1=0.400\) における \(\bar V_1\) と \(\bar V_2\) を求めます。
モル体積と傾きを求める
\begin{aligned}
V_m
&=40.0+12.0(0.400)-4.00(0.400)^2\\
&=44.16\ \mathrm{cm^3/mol}
\end{aligned}
\]
\[
\frac{dV_m}{dx_1}=12.0-8.00x_1
\]
\[
\left.\frac{dV_m}{dx_1}\right|_{x_1=0.400}
=8.80\ \mathrm{cm^3/mol}
\]
各成分の部分モル体積を求める
\(x_2=1-0.400=0.600\) なので、
\begin{aligned}
\bar V_1
&=V_m+x_2\frac{dV_m}{dx_1}\\
&=44.16+(0.600)(8.80)\\
&=49.44\ \mathrm{cm^3/mol}
\end{aligned}
\]
\[
\begin{aligned}
\bar V_2
&=V_m-x_1\frac{dV_m}{dx_1}\\
&=44.16-(0.400)(8.80)\\
&=40.64\ \mathrm{cm^3/mol}
\end{aligned}
\]
\[
\boxed{
\bar V_1=49.44\ \mathrm{cm^3/mol},
\qquad
\bar V_2=40.64\ \mathrm{cm^3/mol}
}
\]
加重平均を確認すると、
(0.400)(49.44)+(0.600)(40.64)
=44.16\ \mathrm{cm^3/mol}
\]
となり、もとの \(V_m\) と一致します。
代表的な部分モル量
| 部分モル量 | 定義 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 部分モル体積 \(\bar V_i\) | \((\partial V/\partial n_i)_{T,P,n_j}\) | 混合液の体積、密度、装置容量 |
| 部分モルエンタルピー \(\bar H_i\) | \((\partial H/\partial n_i)_{T,P,n_j}\) | 混合熱、エネルギー収支 |
| 部分モルエントロピー \(\bar S_i\) | \((\partial S/\partial n_i)_{T,P,n_j}\) | 混合エントロピー、相平衡 |
| 部分モルGibbsエネルギー \(\bar G_i\) | \((\partial G/\partial n_i)_{T,P,n_j}\) | 相平衡、反応平衡、物質移動 |
エンタルピーと内部エネルギーの違いは、エンタルピーと内部エネルギーで確認できます。
化学ポテンシャルは部分モルGibbsエネルギー
成分 \(i\) の化学ポテンシャル \(\mu_i\) は、部分モルGibbsエネルギーそのものです。
\boxed{
\mu_i
=\bar G_i
=
\left(
\frac{\partial G}{\partial n_i}
\right)_{T,P,n_{j\ne i}}
}
\]
組成変化を含む多成分系では、Gibbsエネルギーの全微分は、
\boxed{
dG=-S\,dT+V\,dP+\sum_i\mu_i\,dn_i
}
\]
です。また、Eulerの式から、
\boxed{
G=\sum_i n_i\mu_i
}
\]
となります。相平衡では同一成分の化学ポテンシャルが各相で等しくなります。詳しい意味は、化学ポテンシャルとはを参照してください。
Gibbs–Duhem式とは
部分モル量は、成分ごとに独立して好きな値をとれるわけではありません。その制約を表すのがGibbs–Duhem式です。
まず、\(G=\sum_i n_i\mu_i\) を微分すると、
dG
=\sum_i\mu_i\,dn_i
+\sum_i n_i\,d\mu_i
\]
一方、基本式は、
dG=-S\,dT+V\,dP+\sum_i\mu_i\,dn_i
\]
です。両式を比較すると、一般形が得られます。
\boxed{
S\,dT-V\,dP+\sum_i n_i\,d\mu_i=0
}
\]
温度と圧力が一定なら、
\boxed{
\sum_i n_i\,d\mu_i=0
}
\]
\[
\boxed{
\sum_i x_i\,d\mu_i=0
}
\]
二成分系では、
\boxed{
x_1d\mu_1+x_2d\mu_2=0
}
\]
です。組成変化によって \(\mu_1\) が変わると、\(\mu_2\) もこの関係を満たすように変わります。
Gibbs–Duhem式は \(\mu_1=\mu_2\) を意味しない
同じ相に存在する異なる成分の化学ポテンシャルが等しいという式ではありません。成分ごとの化学ポテンシャル変化が互いに独立ではないことを示しています。同一成分について相をまたいで化学ポテンシャルが等しくなる相平衡条件とは別の関係です。
一般の部分モル量に対するGibbs–Duhem型の関係
一定温度・圧力で、一般の部分モル量にも同様の関係が成り立ちます。
\boxed{
\sum_i x_i\,d\bar M_i=0
}
\]
二成分系なら \(x_1d\bar M_1+x_2d\bar M_2=0\) です。一方が組成とともに変化すれば、もう一方の変化もこの制約を満たさなければなりません。
活量係数とGibbs–Duhem式
液相の化学ポテンシャルを、純液体標準状態と活量係数を使って、
\mu_i=\mu_i^*+RT\ln(\gamma_ix_i)
\]
と表します。一定温度・圧力では、Gibbs–Duhem式から活量係数にも次の制約が導かれます。
\boxed{
\sum_i x_i\,d\ln\gamma_i=0
}
\]
二成分系では、
\boxed{
x_1d\ln\gamma_1+x_2d\ln\gamma_2=0
}
\]
です。二つの活量係数を組成に対して無関係に設定することはできません。この関係は、気液平衡データや活量係数モデルの熱力学的整合性を確認する基礎になります。活量係数の意味は、活量とフガシティとはで詳しく解説しています。
例題3:Gibbs–Duhem式からもう一方の変化を求める
一定温度・圧力の二成分液体で、\(x_1=0.300\)、\(x_2=0.700\) とします。微小な組成変化に対して \(d\ln\gamma_1=0.0200\) のとき、Gibbs–Duhem式を満たす \(d\ln\gamma_2\) を求めます。
d\ln\gamma_2
=-\frac{x_1}{x_2}d\ln\gamma_1
\]
\[
\begin{aligned}
d\ln\gamma_2
&=-\frac{0.300}{0.700}(0.0200)\\
&=-8.57\times10^{-3}
\end{aligned}
\]
\[
\boxed{d\ln\gamma_2=-0.00857}
\]
この微小変化では、\(\ln\gamma_1\) が増える方向に変わると、\(\ln\gamma_2\) は減る方向に変わります。これは局所的な微分関係であり、有限の組成範囲へそのまま一定値として外挿する式ではありません。
部分モル量はどう求めるか
| 対象 | 代表的なデータ | 求め方の例 |
|---|---|---|
| 部分モル体積 | 各組成の密度 | 密度から \(V_m(x)\) を求め、微分・接線法を使う |
| 部分モルエンタルピー | 混合熱、溶解熱、エンタルピーデータ | \(H_m(x)\) の組成依存性から求める |
| 部分モルGibbsエネルギー | 気液・液液・固液平衡データ | 活量やフガシティを介して化学ポテンシャルを求める |
| 活量係数 | 相平衡・蒸気圧データ | モデル回帰とGibbs–Duhem整合性確認を行う |
実験値を数値微分すると測定誤差が増幅されやすいため、実務では組成依存性を適切な式で相関してから微分する方法がよく使われます。
化学工学での主な用途
混合槽・貯槽の体積計算
混合収縮や膨張が大きい系では、純成分体積の単純加算では液位や必要槽容量を正しく見積もれません。部分モル体積や実測密度が必要です。
混合・分離プロセスのエネルギー収支
混合熱が無視できない場合、部分モルエンタルピーを使って多成分流のエンタルピーを表します。蒸留、吸収、抽出などの熱収支にも関係します。
気液・液液・固液平衡
相平衡の駆動力を表す化学ポテンシャルは部分モルGibbsエネルギーです。活量とフガシティを使う相平衡計算の土台になります。
反応平衡
反応Gibbsエネルギーは、化学量論係数 \(\nu_i\) を用いて \(\Delta_rG=\sum_i\nu_i\mu_i\) と表せます。混合物中の各成分の化学ポテンシャルが平衡転化率を決めます。
物質移動
濃度差は物質移動の分かりやすい指標ですが、非理想系を含む厳密な駆動力は化学ポテンシャル差です。相間物質移動や膜分離の理論にもつながります。
よくある間違い
部分モル量を純成分モル量と同じにする
部分モル量は混合物中での増分的な寄与です。純物質のモル量とは一般に異なり、組成によって変化します。
有限量を加えても \(\Delta M=\bar M_i\Delta n_i\) が厳密だと考える
部分モル量は微分値です。追加量が大きく組成が変化する場合、\(\bar M_i\) の変化を含めて積分しなければなりません。
偏微分で一定にする条件を省略する
\(\bar M_i\) の標準的な定義では、温度、圧力、ほかの成分の物質量を一定にします。条件が変われば、同じ偏微分ではありません。
平均モル量と部分モル量を混同する
\(M_m=M/n\) は混合物全体の平均値です。部分モル量は成分を少し加えたときの傾きです。非理想混合物では両者は一致しません。
Gibbs–Duhem式を相平衡条件と混同する
Gibbs–Duhem式は同じ相の各成分の部分モル量が独立でないことを示します。相平衡条件は、同一成分の化学ポテンシャルが各相で等しいことです。
よくある質問
部分モル量の「部分」とは何ですか
混合物全体の状態量を、各成分の増分的な寄与へ分けたものという意味です。単に全体を物質量で割った平均値ではありません。
部分モル量は示強性ですか
はい。全体系を同じ組成のまま拡大しても部分モル量は変わりません。ただし、温度、圧力、組成が変われば値は変化します。
部分モル量は負になりますか
状態量の種類と系によっては負になり得ます。これは成分を加えると、周囲の再配列なども含めて全体量が減少することを意味し、分子の幾何学的な大きさが負という意味ではありません。
化学ポテンシャルと部分モルGibbsエネルギーは別物ですか
同じ量です。\(\mu_i=\bar G_i\) であり、単位は通常 \(\mathrm{J/mol}\) です。
接線法はどんな部分モル量にも使えますか
一定温度・圧力の二成分系で、対象となるモル量 \(M_m\) の組成依存性が分かれば使えます。多成分系では組成空間が多次元になるため、二成分系の単純な作図より複雑です。
演習問題で確認しよう
部分モル量では、「全体量」「平均モル量」「部分モル量」を区別することが重要です。まずは \(M=\sum n_i\bar M_i\) と二成分系の接線式を使う計算から練習しましょう。
確認問題
3問のミニテストで、ここまでの内容を確認しましょう。選択すると、その場で正誤と解説が表示されます。
QUICK CHECK
1 / 3熱力学・物性・初級
このミニテストの回答結果は保存されません。学習記録を残す場合は化工演習室をご利用ください。
まとめ
- 部分モル量は、温度・圧力・ほかの成分量を一定にして成分 \(i\) を微量加えたときの全体量の変化率
- \(\bar M_i=(\partial M/\partial n_i)_{T,P,n_{j\ne i}}\)
- 全体量は \(M=\sum_i n_i\bar M_i\)、モル量は \(M_m=\sum_i x_i\bar M_i\)
- 部分モル体積は、混合による分子配置や相互作用の変化も含む増分的な体積
- 二成分系では、モル量―組成曲線の接線切片から各成分の部分モル量を求められる
- 化学ポテンシャルは部分モルGibbsエネルギーであり、\(\mu_i=\bar G_i\)
- Gibbs–Duhem式は、各成分の部分モル量が互いに独立ではないことを示す
- 一定温度・圧力では \(\sum_i x_i d\mu_i=0\)
- 活量係数にも \(\sum_i x_i d\ln\gamma_i=0\) という制約がある
- 部分モル量は、相平衡、反応平衡、混合体積、エネルギー収支の基礎になる
参考資料
- IUPAC Gold Book: Partial molar quantity
- MIT OpenCourseWare: Multicomponent Systems, Partial Molar Quantities, and the Chemical Potential
- MIT OpenCourseWare: Chemical Engineering Thermodynamics Readings
- NPTEL: Solution Thermodynamics and Partial Molar Property
- NPTEL: Gibbs–Duhem Equation


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