蒸留塔の塔径はどう決める?フラッディング速度と計算手順を例題で解説

蒸留塔の塔径はどう決める?フラッディング速度と計算手順を例題で解説 蒸留

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※内容は大学の化学工学教材や、蒸留塔内装品メーカーの技術資料などをもとに確認しています。

蒸留塔の設計では、必要な分離性能だけでなく、決められた量の蒸気と液を安定して流せることも重要です。分離に必要な段数や充填高さを計算できても、塔が細すぎれば、蒸気が液を押し上げるフラッディングが起こります。

そこで使うのが、フラッディング速度から設計蒸気速度を決め、必要な断面積と塔径を求める考え方です。

この記事で分かること

  • 蒸留塔の塔高と塔径が、それぞれ何で決まるか
  • フラッディングとローディングの意味
  • 蒸気流量から塔断面積・塔径を求める計算手順
  • 棚段塔と充填塔で、塔径計算の考え方がどう違うか
  • 上部と下部のどちらで塔径を決めるべきか
  • フラッディング以外に確認する低負荷・高負荷の限界
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蒸留塔の塔径とは

蒸留塔の塔径とは、円筒状の塔の内径です。塔を上から見たときの円の直径に相当し、塔内を流れる蒸気と液の通り道の広さを決めます。

同じ蒸気流量なら、塔径が小さいほど蒸気速度は大きくなり、塔径が大きいほど蒸気速度は小さくなります。これは、体積流量が「速度×面積」で表されるためです。

\[
Q_V=uA
\]

  • \(Q_V\):蒸気の体積流量 \(\mathrm{m^3/s}\)
  • \(u\):空塔基準の蒸気速度 \(\mathrm{m/s}\)
  • \(A\):塔の断面積 \(\mathrm{m^2}\)

「空塔基準」とは、棚段や充填物が入っていない円筒の断面積を基準に速度を表す考え方です。実際の流路は内装物によって狭くなりますが、塔全体の大きさを比較しやすいため、空塔速度が広く使われます。

塔高と塔径は別の条件で決まる

蒸留塔の寸法を学ぶときに最も大切なのは、塔高と塔径を分けて考えることです。

寸法 主に支配するもの 代表的な計算
塔高 必要な分離性能 理論段数、段効率、段間隔、HETPなど
塔径 処理する蒸気・液の流量 フラッディング速度、設計蒸気速度、断面積

分離が難しくなるほど、一般に必要な理論段数や充填高さが増えるため、塔は高くなります。一方、処理量が増えるほど必要な流路面積が増えるため、塔は太くなります。

充填塔の高さについては「充填塔とは?HETPによる充填高さの計算」、棚段塔の実段数については「棚段効率とMurphree効率」もあわせて確認してください。

フラッディングとは

蒸留塔では、蒸気が上向き、液が下向きに流れます。蒸気速度を上げていくと、上向きの力が下向きの液流れを次第に妨げます。さらに蒸気速度が大きくなると、液が正常に流下できず、塔内にたまったり上へ運ばれたりします。この高負荷限界がフラッディングです。

フラッディングに近づくと、塔内の液ホールドアップと圧力損失が急増し、安定した気液接触が失われます。分離性能の低下だけでなく、塔頂側への液の持ち上がりや運転変動につながるため、通常運転点はフラッディング点より低く設定します。

蒸留塔のフラッディングと塔径計算 左側は蒸気速度が増えると圧力損失が増え、ローディングを超えると急増してフラッディングに至る関係を示す。右側はフラッディング速度から設計速度、断面積、塔径を順に求める計算手順を示す。 フラッディングを避けて塔径を決める 蒸気速度と塔内圧力損失 空塔蒸気速度 \(u\) 塔内圧力損失 \(\Delta P\) ローディング フラッディング 設計点 低負荷域 安定運転域 負荷増 限界 塔径計算の流れ 相関式から求める フラッディング速度 \(u_f\) 安全余裕をとる \(u_{\mathrm{design}}=0.70u_f\) 必要断面積 \(A=Q_V/u_{\mathrm{design}}\) 円の面積から塔径へ \(D=\sqrt{4A/\pi}\) 設計点はフラッディング点より低くし、運転余裕を確保する

ローディングとフラッディングの違い

充填塔では、蒸気速度の増加によって液の流下が影響を受け始め、液ホールドアップと圧力損失の増加傾向が変わる領域をローディングと呼びます。さらに速度を上げると、圧力損失が急激に増えてフラッディングに至ります。

状態 塔内で起こること 圧力損失
低~通常負荷 蒸気と液が互いにすれ違って流れる 蒸気速度とともに緩やかに増える
ローディング 蒸気が液の流下を強く妨げ始める 増加が目立つようになる
フラッディング 液が正常に流下できず、滞留・上昇する 急激に増える

ローディングは「もう運転できない一点」ではなく、気液の相互作用が強まり始める領域です。フラッディングはその先にある高負荷限界と考えると分かりやすいでしょう。

棚段塔で起こるフラッディング

棚段塔では、フラッディングの原因が一つとは限りません。代表的には次のような機構があります。

  • 飛沫同伴によるフラッディング:強い蒸気流が液滴を上段へ運び、上段の液負荷を増やす
  • ダウンカマー・バックアップ:段間の圧力差や液流動抵抗によって、ダウンカマー内の液面が上昇する
  • 過大な泡沫層:段上の泡沫層が厚くなり、上段との空間が不足する

したがって、棚段塔の塔径はフラッディング相関だけで決定して終わりではありません。段間隔、ダウンカマー面積、開孔率、液負荷、圧力損失などを仮定し、トレイの水力学を繰り返し確認します。

充填塔で起こるフラッディング

充填塔では、蒸気速度が増すにつれて、充填物表面を流れ落ちる液が上向きの蒸気から強い抵抗を受けます。液ホールドアップが増え、流路の空隙が液で占められると、蒸気の通り道がさらに狭くなり、圧力損失が急増します。

フラッディング速度は、充填物の形状・比表面積・空隙率、気液の密度・粘度・表面張力、液負荷などに依存します。そのため、実際の設計では充填物メーカーの容量相関、圧力損失線図、設計・レーティングツールなどを使います。

棚段塔と充填塔で共通する本質

どちらも「蒸気が速すぎると、液が下向きに流れられなくなる」という現象です。ただし、限界速度を求める相関式と確認項目は、塔内構造によって異なります。

フラッディング速度から設計速度を決める

フラッディング速度を \(u_f\) とすると、設計蒸気速度 \(u_{\mathrm{design}}\) は、フラッディング速度に設計係数 \(f\) を掛けて表せます。

\[
u_{\mathrm{design}}=f u_f
\]

設計係数 \(f\) は、フラッディングに対する運転余裕です。たとえば \(f=0.70\) なら、フラッディング速度の70%を設計速度とします。

NPTELの棚段設計資料では、非発泡系でフラッディング速度の80~85%、発泡系で75%以下という目安が紹介されています。一方、教育用設計例では70%や80%を用いる場合もあります。

70%や80%は万能な定数ではありません

採用する割合は、塔形式、物性、発泡性、負荷変動、相関式の不確かさ、ターンダウン、メーカー推奨値などで変わります。実設計では、対象設備に適した設計基準とレーティング結果を使ってください。

棚段塔のフラッディング相関の考え方

棚段塔の限界蒸気速度は、密度差を用いるSouders–Brown型の式で表されることがあります。

\[
u_f=C\sqrt{\frac{\rho_L-\rho_V}{\rho_V}}
\]

  • \(u_f\):フラッディング速度 \(\mathrm{m/s}\)
  • \(C\):容量係数 \(\mathrm{m/s}\)
  • \(\rho_L\):液密度 \(\mathrm{kg/m^3}\)
  • \(\rho_V\):蒸気密度 \(\mathrm{kg/m^3}\)

液と蒸気の密度差が大きく、蒸気密度が小さいほど、式上の限界速度は大きくなります。しかし、容量係数 \(C\) は一定値ではありません。段間隔、液負荷、表面張力、トレイ形式などを含む相関図や設計法から求めます。

つまり、この式の役割は「密度差が限界速度へどう効くか」を示すことです。表から拾った \(C\) を、別の条件へ無条件に流用してはいけません。

塔断面積と塔径の計算式

設計蒸気速度が決まれば、必要断面積は連続の関係から求められます。

\[
A=\frac{Q_V}{u_{\mathrm{design}}}
\]

塔の断面を円とすると、面積と直径の関係は次のとおりです。

\[
A=\frac{\pi D^2}{4}
\]

したがって、塔径は次式です。

\[
D=\sqrt{\frac{4A}{\pi}}
\]

ここで使用する \(Q_V\) と \(u_{\mathrm{design}}\) は、同じ温度・圧力の体積流量と速度でそろえます。標準状態のガス体積流量を、塔内条件の体積流量に換算せず使うのは典型的なミスです。

例題:蒸気流量から蒸留塔の塔径を求める

考え方をつかむため、単純化した例題で塔径を計算します。フラッディング速度そのものは、対象のトレイまたは充填物に適した相関から既に求められているものとします。

条件 記号
塔内条件での蒸気体積流量 \(Q_V\) \(2.0\ \mathrm{m^3/s}\)
フラッディング速度 \(u_f\) \(2.0\ \mathrm{m/s}\)
設計係数 \(f\) \(0.70\)

手順1:設計蒸気速度を求める

\[
\begin{aligned}
u_{\mathrm{design}}
&=f u_f\\
&=0.70\times2.0\\
&=1.40\ \mathrm{m/s}
\end{aligned}
\]

手順2:必要断面積を求める

\[
\begin{aligned}
A
&=\frac{Q_V}{u_{\mathrm{design}}}\\
&=\frac{2.0}{1.40}\\
&=1.43\ \mathrm{m^2}
\end{aligned}
\]

手順3:塔径を求める

\[
\begin{aligned}
D
&=\sqrt{\frac{4A}{\pi}}\\
&=\sqrt{\frac{4\times1.43}{\pi}}\\
&=1.35\ \mathrm{m}
\end{aligned}
\]

計算上必要な塔径は約 \(1.35\ \mathrm{m}\) です。ここでは説明を簡単にするため、内径 \(1.4\ \mathrm{m}\) を仮採用するとします。

手順4:仮採用した塔径で速度を再確認する

\[
\begin{aligned}
A_{\mathrm{actual}}
&=\frac{\pi(1.4)^2}{4}\\
&=1.54\ \mathrm{m^2}
\end{aligned}
\]

\[
\begin{aligned}
u_{\mathrm{actual}}
&=\frac{2.0}{1.54}\\
&=1.30\ \mathrm{m/s}
\end{aligned}
\]

フラッディング速度に対する比率は次のとおりです。

\[
\frac{u_{\mathrm{actual}}}{u_f}
=\frac{1.30}{2.0}
=0.65
\]

仮採用径では約65%フラッドとなり、最初に設定した70%以下です。ただし、これだけで最終設計が完了するわけではありません。棚段塔ならダウンカマー面積やウィーピング、充填塔なら圧力損失や液分布などを再評価します。

例題の結果を感覚的に理解する

塔径 \(1.35\ \mathrm{m}\) は、蒸気流量 \(2.0\ \mathrm{m^3/s}\) を設計速度 \(1.40\ \mathrm{m/s}\) 以下で通すために必要な円の直径です。

道路にたとえると、蒸気流量は1秒あたりに通る自動車の数、断面積は車線数に相当します。同じ台数を通すなら、車線が少ないほど1台ずつ速く通る必要があります。塔も同様で、細い塔へ大量の蒸気を通すと速度が上がり、対向して流れる液を押し戻してしまいます。

流量が変わると塔径はどう変わるか

設計速度を一定とすると、断面積は蒸気体積流量に比例し、塔径は蒸気体積流量の平方根に比例します。

\[
A\propto Q_V
\]

\[
D\propto\sqrt{Q_V}
\]

たとえば蒸気流量が2倍なら、必要断面積は2倍ですが、塔径は \(\sqrt{2}\approx1.41\) 倍です。流量が4倍になって初めて、塔径は2倍になります。

蒸気流量の倍率 必要断面積の倍率 塔径の倍率
0.5倍 0.5倍 0.71倍
1倍 1倍 1倍
2倍 2倍 1.41倍
4倍 4倍 2倍

棚段塔では有効面積と全断面積を分ける

先ほどの例題は、塔全断面積をそのまま蒸気流路として扱う単純化した計算です。棚段塔では、液を下段へ送るダウンカマーや非活性部があるため、蒸気が通る有効面積は塔全断面積より小さくなります。

\[
A_{\mathrm{total}}
=A_{\mathrm{active}}+A_{\mathrm{downcomer}}+A_{\mathrm{other}}
\]

相関式がどの面積を基準にした速度を使うか確認し、有効面積から全断面積へ正しく換算する必要があります。必要有効面積をそのまま塔全断面積とみなすと、塔径を過小評価するおそれがあります。

充填塔では空塔断面積を基準にする

充填塔の空塔速度は、通常、塔の内径から計算した全断面積を基準にします。ただし、フラッディング速度は充填物の種類と液負荷によって変わります。

充填物を選定してから、その充填物の容量相関でフラッディング点と圧力損失を求め、設計速度から塔径を計算します。塔径を仮定した後は、液分配器、支持板、再分散器などの内装品を含めて、実際の有効流路と圧力損失を確認します。

精留部と回収部は別々に計算する

蒸留塔では、供給段より上を精留部、下を回収部と呼びます。供給の熱状態、還流量、リボイラー蒸発量、温度・圧力による蒸気密度の変化などによって、上下で蒸気流量が同じとは限りません。

  1. 精留部の最大蒸気体積流量と物性を求める
  2. 回収部の最大蒸気体積流量と物性を求める
  3. それぞれでフラッディング速度、設計速度、必要断面積を計算する
  4. 大きい側を基準に、共通の塔径または異径塔を検討する

モル流量が同じでも、蒸気の温度・圧力・分子量が違えば体積流量と密度が変わります。そのため、塔頂だけの条件で塔全体を代表させず、負荷が厳しい位置を探します。

還流比は塔径にも影響する

還流比を増やすと、塔内を循環する液量が増えます。多くの場合、凝縮器とリボイラーの負荷も増え、塔内蒸気量も増えるため、必要な塔径が大きくなる方向に働きます。

一方、還流比を増やすと必要段数は減る傾向があります。つまり、還流比は「塔を低くする方向」と「塔を太くする方向」の両方に影響し得ます。還流比の基礎は「蒸留塔と還流比の基礎」で詳しく解説しています。

高負荷だけでなく低負荷も確認する

塔径を大きくすれば、フラッディングだけを見れば安全側になります。しかし、塔を必要以上に太くすると蒸気速度が低くなり、別の問題が起こります。

塔形式 低負荷で起こりやすいこと 高負荷で起こりやすいこと
棚段塔 ウィーピング、ダンピング、接触不足 飛沫同伴、ダウンカマー・バックアップ、フラッディング
充填塔 濡れ不足、液分布悪化、物質移動面積の減少 液ホールドアップ増加、圧力損失急増、フラッディング

設計では、最大負荷でフラッディングしないことに加え、最小負荷でも十分な気液接触が得られることを確認します。この運転可能な負荷の幅をターンダウンと呼びます。

フラッディングに近いときの運転兆候

実際の塔がフラッディングへ近づくと、次のような変化が現れることがあります。

  • 塔内差圧が急に上昇する
  • 製品組成が悪化し、分離性能が不安定になる
  • 塔頂側へ液滴が持ち上がる
  • 塔底液の抜き出しや液面が不安定になる
  • 流量を少し増やしただけで差圧が大きく変化する

ただし、差圧上昇は汚れや閉塞などでも起こります。単一の計器だけで断定せず、流量、温度、組成、液面、差圧の変化を組み合わせて判断します。

蒸留塔の塔径を決める基本手順

  1. 物質収支と熱収支から、塔内の気液流量を求める
  2. 精留部・回収部など、負荷が変わる区間を分ける
  3. 各区間の温度・圧力で、蒸気体積流量と気液物性を求める
  4. トレイまたは充填物を仮選定する
  5. 適切な相関式からフラッディング速度を求める
  6. 設計係数を掛けて設計蒸気速度を決める
  7. 蒸気体積流量から必要面積と仮塔径を求める
  8. 棚段塔ならダウンカマー、ウィーピング、圧力損失、飛沫同伴を確認する
  9. 充填塔なら圧力損失、液分布、最小濡れ流量、内装品を確認する
  10. 最大・最小負荷と異常時を含めて再レーティングし、標準径を決める

よくある計算・設計ミス

  1. 標準状態のガス流量を塔内体積流量へ換算しない
  2. 塔頂または塔底の一方だけで塔径を決める
  3. フラッディング速度をそのまま設計速度にする
  4. 70%や80%という割合を、すべての系に固定して使う
  5. 棚段塔の有効面積と塔全断面積を混同する
  6. 塔を太くすれば常に安全だと考え、低負荷限界を確認しない
  7. 充填物やトレイの種類が変わっても同じ容量係数を使う
  8. 塔径計算だけで完了とし、圧力損失や液分布を再確認しない

よくある質問

フラッディング速度で運転してはいけませんか?

フラッディング速度は高負荷限界であり、安定運転点ではありません。流量や物性の変動、相関式の不確かさを吸収するため、その一部を設計速度として使います。

塔径を2倍にすると処理量も2倍ですか?

同じ設計速度なら、処理量は断面積に比例します。塔径を2倍にすると断面積は4倍になるため、単純な幾何学上は処理量も4倍です。ただし、液分配や内装品の設計条件が変わるので、実設備でそのまま4倍になるとは限りません。

設計係数は70%と80%のどちらを使えばよいですか?

どちらか一つを普遍的に選ぶことはできません。塔形式、発泡性、負荷変動、採用する相関、メーカー推奨値などに基づいて決めます。この記事の70%は計算手順を示すための仮定です。

棚段塔と充填塔で同じ式を使えますか?

\(A=Q_V/u_{\mathrm{design}}\) と \(D=\sqrt{4A/\pi}\) という幾何学的な流れは共通です。しかし、フラッディング速度を求める相関と、面積の定義、設計後の確認項目は異なります。

塔高を決めてから塔径を決めますか?

学習上は順番に計算できますが、実際は相互に影響するため反復します。圧力損失は温度・圧力・体積流量に影響し、塔径や内装物は分離性能にも影響するためです。McCabe–Thiele法による段数計算は「McCabe–Thiele法による理論段数の求め方」を参照してください。

まとめ

  • 蒸留塔の塔高は主に分離性能、塔径は主に処理量と水力学で決まる
  • フラッディングは、上昇蒸気が液の流下を妨げる高負荷限界である
  • 設計速度は \(u_{\mathrm{design}}=f u_f\) として、フラッディング速度より低く設定する
  • 必要断面積は \(A=Q_V/u_{\mathrm{design}}\)、塔径は \(D=\sqrt{4A/\pi}\) で求める
  • 例題では \(Q_V=2.0\ \mathrm{m^3/s}\)、\(u_f=2.0\ \mathrm{m/s}\)、\(f=0.70\) から、計算塔径 \(1.35\ \mathrm{m}\) を得た
  • 棚段塔ではダウンカマーを含む全断面積、充填塔では充填物固有の容量相関に注意する
  • 精留部と回収部を別々に評価し、最も厳しい区間で塔径を決める
  • 高負荷のフラッディングだけでなく、ウィーピングや濡れ不足などの低負荷限界も確認する

塔径計算の基本は、「流したい蒸気量を、許容できる速度で通すには、どれだけの面積が必要か」です。式は単純ですが、許容速度を正しく決めるには、塔形式、内装物、物性、液負荷、運転範囲を一つの水力学システムとして見る必要があります。

参考資料

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