流量と流速とは?体積流量・質量流量・連続の式を例題でわかりやすく解説

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流量と流速は、配管を流れる液体や気体を表す基本的な量です。言葉は似ていますが、流量は「一定時間にどれだけ通過したか」、流速は「流体がどれくらいの速さで進んでいるか」を表します。

たとえば、同じ量の水を太いホースと細いホースに流すと、細いホースの中では水が速く流れます。この関係を式で表すのが \(Q=A\bar{v}\) です。さらに、流れの途中で質量が突然消えたり増えたりしないという質量保存則から、連続の式が得られます。

この記事では、体積流量・質量流量・モル流量の定義から、流速との関係、連続の式、液体と気体の違いまでを例題で解説します。

この記事でわかること

  • 流量と流速の違い
  • 体積流量・質量流量・モル流量の定義と単位
  • 体積流量と断面平均流速の関係 \(Q=A\bar{v}\)
  • 質量保存則から導かれる連続の式
  • 配管径が変化したときの流速の求め方
  • 気体の流量を扱うときの注意点

流量とは「単位時間あたりに通過する量」

流量とは、配管や流路のある断面を単位時間あたりに通過する流体の量です。「量」として体積、質量、物質量のどれを選ぶかによって、体積流量・質量流量・モル流量に分かれます。

体積流量

体積流量 \(Q\) は、時間 \(\mathrm{d}t\) の間に断面を通過する体積 \(\mathrm{d}V\) を用いて、次のように定義されます。

\[
Q=\frac{\mathrm{d}V}{\mathrm{d}t}
\]

IUPACでは体積流量を「表面を横切る成分の体積を時間で割った量」と定義しています。SI単位は \(\mathrm{m^3/s}\) です。実際の設備では \(\mathrm{m^3/h}\)、\(\mathrm{L/min}\)、\(\mathrm{L/s}\) もよく使います。

質量流量

質量流量 \(\dot{m}\) は、単位時間あたりに通過する質量です。

\[
\dot{m}=\frac{\mathrm{d}m}{\mathrm{d}t}
\]

SI単位は \(\mathrm{kg/s}\) です。質量は温度や圧力によって変化しないため、化学プロセスの収支計算では体積流量より質量流量の方が扱いやすい場合があります。

モル流量

モル流量 \(\dot{n}\) は、単位時間あたりに通過する物質量です。

\[
\dot{n}=\frac{\mathrm{d}n}{\mathrm{d}t}
\]

SI単位は \(\mathrm{mol/s}\) です。化学反応を含むプロセスでは、反応式の係数と直接結びつけやすいため、\(\mathrm{mol/s}\) や \(\mathrm{kmol/h}\) がよく使われます。

種類 代表記号 定義 SI単位
体積流量 \(Q\)、\(q_V\) 体積÷時間 \(\mathrm{m^3/s}\)
質量流量 \(\dot{m}\) 質量÷時間 \(\mathrm{kg/s}\)
モル流量 \(\dot{n}\) 物質量÷時間 \(\mathrm{mol/s}\)

記号は教科書や分野によって異なる

体積流量には \(Q\)、\(q\)、\(\dot{V}\) などが使われます。大切なのは記号だけを暗記することではなく、その記号が体積流量・質量流量・モル流量のどれを表しているか、単位と一緒に確認することです。

流速とは「流体が移動する速さ」

流速 \(v\) は流体が移動する速度で、SI単位は \(\mathrm{m/s}\) です。ただし、配管の断面内では流速が必ずしも一様ではありません。

壁面では粘性の影響によって流速が小さくなり、管の中心付近では大きくなるのが一般的です。そのため、配管計算では断面全体を代表する断面平均流速 \(\bar{v}\) を使います。

断面平均流速の定義

断面積を \(A\)、流れに垂直な局所流速を \(v_n\) とすると、体積流量は断面全体について積分して、

\[
Q=\int_A v_n\,\mathrm{d}A
\]

です。断面平均流速は、

\[
\bar{v}=\frac{1}{A}\int_A v_n\,\mathrm{d}A
\]

と定義されます。したがって、体積流量と断面平均流速の関係は、

\[
\boxed{Q=A\bar{v}}
\]

となります。この式は、断面内の流速分布が一様でなくても、\(\bar{v}\) を断面平均流速として使えば成立します。

直感的なイメージ

断面積 \(A\) の入口から、平均流速 \(\bar{v}\) で流体が進むと考えます。1秒間に進む距離は \(\bar{v}\) mなので、1秒間に通過する流体は「底面積 \(A\)、長さ \(\bar{v}\)」の柱になります。その体積が \(A\bar{v}\) であり、体積流量です。

流量の単位換算

流量計算では、体積の単位と時間の単位を同時に変換する必要があります。基本となる関係は次の通りです。

  • \(1 \mathrm{m^3}=1000 \mathrm{L}\)
  • \(1 \mathrm{h}=3600 \mathrm{s}\)
  • \(1 \mathrm{min}=60 \mathrm{s}\)

1 L/minをm³/sへ換算

\[
\begin{aligned}
1 \mathrm{L/min}
&=1\times10^{-3} \mathrm{m^3/min} \\
&=\frac{1\times10^{-3}}{60} \mathrm{m^3/s} \\
&=1.667\times10^{-5} \mathrm{m^3/s}
\end{aligned}
\]

1 m³/hをm³/sへ換算

\[
1 \mathrm{m^3/h}
=\frac{1}{3600} \mathrm{m^3/s}
=2.778\times10^{-4} \mathrm{m^3/s}
\]

単位換算が不安な場合は、単位と次元の記事で、変換係数を分数として掛ける方法を確認してください。

例題1:配管径と流速から体積流量を求める

内径50 mmの円管を、水が平均流速2.0 m/sで流れています。体積流量を \(\mathrm{m^3/s}\)、\(\mathrm{L/s}\)、\(\mathrm{L/min}\) で求めます。

1. 配管径をmに直す

\[
D=50 \mathrm{mm}=0.050 \mathrm{m}
\]

2. 円管の断面積を求める

\[
\begin{aligned}
A&=\frac{\pi D^2}{4} \\
&=\frac{\pi(0.050)^2}{4} \\
&=1.963\times10^{-3} \mathrm{m^2}
\end{aligned}
\]

3. Q=Avから体積流量を求める

\[
\begin{aligned}
Q&=A\bar{v} \\
&=(1.963\times10^{-3})(2.0) \\
&=3.93\times10^{-3} \mathrm{m^3/s}
\end{aligned}
\]

単位を変換すると、

\[
3.93\times10^{-3} \mathrm{m^3/s}
=3.93 \mathrm{L/s}
=236 \mathrm{L/min}
\]

したがって、体積流量は3.93×10−3 m³/s、3.93 L/s、約236 L/minです。

直径をそのまま面積として使わない

円管の断面積は \(A=\pi D^2/4\) です。直径が2倍になると断面積は4倍になります。また、mmをmへ直さずに二乗すると、誤差は1000倍ではなく100万倍になるため注意してください。

体積流量と質量流量の関係

密度 \(\rho\) が一様な流体では、質量流量は体積流量に密度を掛けて求められます。

\[
\boxed{\dot{m}=\rho Q=\rho A\bar{v}}
\]

単位を確認すると、

\[
\mathrm{\frac{kg}{m^3}}\times\mathrm{\frac{m^3}{s}}
=\mathrm{\frac{kg}{s}}
\]

となり、質量流量の単位になります。

例題1の水の質量流量

水の密度を \(\rho=1000 \mathrm{kg/m^3}\) とすれば、

\[
\begin{aligned}
\dot{m}
&=\rho Q \\
&=(1000)(3.93\times10^{-3}) \\
&=3.93 \mathrm{kg/s}
\end{aligned}
\]

です。

質量流量とモル流量の関係

純物質のモル質量を \(M\) とすれば、質量流量とモル流量の関係は、

\[
\dot{n}=\frac{\dot{m}}{M}
\]

です。混合物では成分ごとの質量分率・モル分率と組み合わせて、各成分の流量を求めます。詳しくは濃度と組成の記事を参照してください。

連続の式は流れに対する質量保存則

連続の式は、新しい物理法則ではなく、流れる系に物質収支を適用したものです。化学反応で質量そのものが生成・消滅しない範囲では、流れに入った質量は、外へ出るか系内に蓄積します。

一般的な積分形

固定された検査体積を考えると、質量保存則は次のように表されます。

\[
\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}t}
\int_{\mathrm{CV}}\rho\,\mathrm{d}V
+
\int_{\mathrm{CS}}\rho\boldsymbol{v}\cdot\boldsymbol{n}\,\mathrm{d}A
=0
\]

第1項は検査体積内の質量の時間変化、第2項は検査面を通って外向きに流出する正味の質量流量です。

初学者の段階では、まず定常流れで入口と出口が一つずつの場合に整理した式を使えるようになることが重要です。

定常流れ・入口1本・出口1本の場合

定常状態では系内の質量が時間とともに変化しないため、入口の質量流量と出口の質量流量が等しくなります。

\[
\dot{m}_1=\dot{m}_2
\]

\(\dot{m}=\rho A\bar{v}\) を代入すると、

\[
\boxed{\rho_1A_1\bar{v}_1
=\rho_2A_2\bar{v}_2}
\]

です。これが、密度変化を含む一次元の連続の式です。

非圧縮性流体の場合

液体のように入口と出口で密度がほぼ変わらない場合は、\(\rho_1=\rho_2\) として密度を消去できます。

\[
\boxed{A_1\bar{v}_1=A_2\bar{v}_2=Q}
\]

断面積が小さくなれば流速は大きくなり、断面積が大きくなれば流速は小さくなります。ホースの出口を指で狭めると水の勢いが増すのは、この関係で説明できます。

連続の式の中心は質量流量

密度が変化しない液体では体積流量も一定ですが、圧縮される気体では体積流量が変化することがあります。どちらの場合でも、分岐・合流や漏れがなく定常であれば質量流量は保存されます。

例題2:縮小管の出口流速を求める

内径100 mmの配管から内径50 mmの配管へ、水が定常的に流れています。入口の平均流速が1.2 m/sのとき、出口の平均流速を求めます。

水は非圧縮性とみなし、連続の式を使います。

\[
A_1\bar{v}_1=A_2\bar{v}_2
\]

円管の断面積は直径の二乗に比例するので、

\[
\begin{aligned}
\bar{v}_2
&=\frac{A_1}{A_2}\bar{v}_1 \\
&=\left(\frac{D_1}{D_2}\right)^2\bar{v}_1 \\
&=\left(\frac{0.100}{0.050}\right)^2(1.2) \\
&=4.8 \mathrm{m/s}
\end{aligned}
\]

出口の平均流速は4.8 m/sです。直径は半分ですが、断面積は4分の1になるため、流速は4倍になります。

気体では密度変化を忘れない

気体は圧力や温度によって密度が変化します。入口と出口で密度が異なる場合、単純な \(A_1\bar{v}_1=A_2\bar{v}_2\) は使えません。

必ず密度を含む連続の式、

\[
\rho_1A_1\bar{v}_1
=\rho_2A_2\bar{v}_2
\]

を使います。

例題3:密度が変化する気体の流速

入口で \(\rho_1=4.0 \mathrm{kg/m^3}\)、\(A_1=0.020 \mathrm{m^2}\)、\(\bar{v}_1=5.0 \mathrm{m/s}\) の気体が流れています。出口では \(\rho_2=2.0 \mathrm{kg/m^3}\)、\(A_2=0.010 \mathrm{m^2}\) です。出口流速を求めます。

まず入口の質量流量は、

\[
\dot{m}
=(4.0)(0.020)(5.0)
=0.40 \mathrm{kg/s}
\]

です。出口流速は、

\[
\begin{aligned}
\bar{v}_2
&=\frac{\dot{m}}{\rho_2A_2} \\
&=\frac{0.40}{(2.0)(0.010)} \\
&=20 \mathrm{m/s}
\end{aligned}
\]

出口の平均流速は20 m/sです。入口より密度と断面積が小さいため、質量流量を保つには流速が大きくなります。

標準状態換算流量に注意

気体流量では、Nm³/h、Sm³/h、sccmなど、基準温度・基準圧力で換算した体積流量が使われることがあります。実際の配管内体積流量とは異なるため、基準温度・圧力の定義を必ず確認します。

同じ質量流量でも、圧力が低い場所では密度が小さくなり、体積流量は大きくなります。気体の密度と圧力・温度の関係は、理想気体の状態方程式の記事で確認できます。

流量はどのように測るのか

実際のプラントでは、流体の性質、配管径、圧力損失、必要精度などに応じて流量計を選びます。

  • 差圧式流量計:オリフィスなどで生じる圧力差から流量を求める
  • 電磁流量計:導電性液体が磁場を横切るときの起電力を利用する
  • コリオリ式流量計:振動する管に働くコリオリ力から質量流量を直接測る
  • 超音波流量計:超音波の伝わり方から流速・流量を推定する
  • 面積式流量計:テーパ管内の浮子の位置から流量を読む

流量計が体積流量を測るのか、質量流量を測るのかも重要です。測定原理によっては密度補正が必要になります。

化学工学で使う見かけ流速

充填塔、固定床、流動層などでは、流体が通れる部分の面積が装置断面積より小さくなります。それでも装置全体の断面積を使って、

\[
u_0=\frac{Q}{A_{\mathrm{column}}}
\]

と定義した流速を、空塔速度や見かけ流速と呼びます。実際に粒子間のすき間を流れる速度とは異なりますが、装置設計や操作条件を比較する共通の尺度として便利です。

よくある間違い

1. 流量と流速を同じものだと思う

流量の単位は \(\mathrm{m^3/s}\) や \(\mathrm{kg/s}\)、流速の単位は \(\mathrm{m/s}\) です。単位を確認するだけでも、多くの取り違えを防げます。

2. 局所流速と平均流速を区別しない

\(Q=A\bar{v}\) の \(\bar{v}\) は断面平均流速です。管中心の最大流速をそのまま代入すると、流量を過大評価する場合があります。

3. 配管径を二乗し忘れる

円管の面積は \(\pi D^2/4\) です。直径比と面積比は同じではありません。

4. 時間単位を換算し忘れる

\(\mathrm{m^3/h}\) と \(\mathrm{m^3/s}\)、\(\mathrm{L/min}\) と \(\mathrm{L/s}\) を混在させないようにします。

5. 気体にも体積流量一定の式を使う

密度が変わる気体では、保存されるのは体積流量ではなく質量流量です。入口と出口の圧力・温度が異なるときは、密度を含む式を使います。

6. 分岐や蓄積を無視する

分岐がある場合は、入口質量流量の合計と出口質量流量の合計を比較します。非定常の場合は、系内への質量蓄積も含めます。

次に学ぶ内容とのつながり

連続の式を使うと、配管径の変化から流速の変化を求められます。しかし、流速が変わったとき圧力がどう変化するかは、連続の式だけでは求められません。

次に学ぶベルヌーイの式では、圧力・流速・高さの間のエネルギー変換を扱います。今回の \(Q=A\bar{v}\) と連続の式は、その計算に欠かせない前提です。圧力の基準や静水圧は、圧力の記事で復習できます。

まとめ

  • 流量は単位時間あたりに断面を通過する量、流速は流体が移動する速さ
  • 体積流量は \(Q=\mathrm{d}V/\mathrm{d}t\)、SI単位は \(\mathrm{m^3/s}\)
  • 質量流量は \(\dot{m}=\mathrm{d}m/\mathrm{d}t\)、SI単位は \(\mathrm{kg/s}\)
  • 体積流量と断面平均流速の関係は \(Q=A\bar{v}\)
  • 質量流量は \(\dot{m}=\rho Q=\rho A\bar{v}\)
  • 定常一次元流れの連続の式は \(\rho_1A_1\bar{v}_1=\rho_2A_2\bar{v}_2\)
  • 非圧縮性流体では \(A_1\bar{v}_1=A_2\bar{v}_2\)
  • 気体では密度変化と基準状態換算流量に注意する

参考資料

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